2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20360017
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
生田 博志 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30231129)
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Keywords | 薄膜 / スパッタ成膜法 / 強磁場 / プラズマ診断 / 反応性スパッタ |
Research Abstract |
本研究で開発している強磁場スパッタ法は、従来の約20倍強力な磁場を利用しているため、これにより形成されるプラズマの特徴を明らかにする目的で、プローブ法によるプラズマ診断を行った。通常は、電流電圧測定から種々のプラズマパラメータを決定するが、磁場分布を調べた結果、ターゲット遠方でもかなり磁場が強く、測定結果に影響することが明らかになった。そこで、主に浮遊電位分布により評価した。既に、昨年度、ターゲット上広範囲に浮遊電位の高い領域が観測されていたが、より高真空で測定した結果、放電ガス圧の低下とともに高浮遊電位領域が広がることが分かった。これは強磁場により高エネルギー電子がターゲット付近に捕捉されたためと考えられる。しかし、10-2Pa以下のガス圧では、ターゲット付近で浮遊電位が減少し、シェル状の分布をした。これは、実際に目視される発光領域ともよく対応しており、高真空下でのプラズマの特徴として興味深い。さらに、放電ガス種依存性が観測され、イオン化エネルギーの違いと対応していることが分かった。ターゲットからの反跳粒子のエネルギーは放電ガス種に依存するため、作製される薄膜の膜質に関わる特徴であると考えられる。 さらに、本手法の反応性スパッタへの適用性を探るために、窒化物の成膜を行った。特に、Mn3CuNの成膜を行い、様々な成膜条件で得られた薄膜の磁気特性等を調べ、成膜条件と窒素量の関係を明らかにした。その結果には磁場強度依存性が観測され、強磁場により反応性が向上したことが明らかになった。一方、低ダメージ成膜という本手法の特徴から、多層膜の界面拡散層厚みの制御にも取り組み、Mo/Si多層膜を例に、基板への電圧印加やバッファ層の導入等による界面拡散層の変化を調べた。界面に薄い窒化物バッファ層を挟むことなどが効果的であったが、薄いバッファ層が制御性良く成膜出来ることが本手法の特徴の1つであると考えられる。
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Research Products
(3 results)