2010 Fiscal Year Annual Research Report
負イオンパターン注入による基材表面での成体幹細胞の配列・細胞体形状制御と分化誘導
Project/Area Number |
20360018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻 博司 京都大学, 工学研究科, 助教 (20127103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 弘子 京都大学, 工学研究科, 研究員 (00093245)
SOMMANI Piyanuch 京都大学, 工学研究科, 研究員 (40512968)
高岡 義寛 京都大学, 工学研究科, 教授 (90135525)
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Keywords | 負イオン注入処理 / パターン接着 / 親疎水性制御 / 間葉系幹細胞 / 自発的パターン配列接着 / 分化誘導 / 骨芽細胞 / 細胞チップ |
Research Abstract |
(1)炭素負イオンや水クラスター(水分子数千個の塊)イオンの開口幅50μmのパターンマスクを介したパターン注入・照射により、細胞接着特性が皆無なシリコーンラバー上でラット骨髄由来の間葉系幹細胞MSCのパターン化接着を得た。炭素負イオン注入の最適条件10keV、3x10^15ions/cm^2で、水クラスターでは6keVでlx10^15ions/cm^2と低エネルギーで接着性制御ができた。他の細胞種では、ヒト血管内皮細胞もパターン接着したが、マウス骨芽様細胞株MC3T3-E1細胞では一部のパターン接着もみられるが、パターン間の架橋やはみ出しが多くあり、明確なパターン接着は得られなかった。接着は細胞種に大きな依存性が有ることが判明した。 (2)炭素負イオンをパターン注入したシリコーンシート上にパターン化接着させた間葉系幹細胞MSCを骨芽細胞にパターン接着を保持した状態で分化することに成功した。注入試料上でのMSCは当初、幅50μmラインの注入処理領域には、ラインに沿った細胞の明瞭なパターン接着をしており、その形態は細胞体を注入長手方向に細長く伸展させたMSC特有細長い形状であった。分化誘導後13日目には、接着パターンは保持したままで比較的丸い形の細胞形状に変化した。抗原抗体法により骨代謝に由来するオステオカルシンやコラーゲン1の分化細胞に検出されたことから、骨芽細胞への分化を確認した。 (3)細胞チップやストリング、シートの形成に関しては、ポリ乳酸に酸素負イオン(20-30keV,3x10^15ions/cm^2)注入してMSCを培養した結果、培養6~9日で注入部周囲からの剥離が見られ、最終的に2.5mm x 2.5mmの細胞シートの剥離に成功した。また、スクラバーによる回収では長さ5mmの細胞ストリングの摘出に成功した。他方、シリコーンシートやテフロンに炭素負イオン注入処理では、細胞の接着力が強いい条件で注入すると細胞剥離は生じないことから、細胞接着が弱い条件で注入を行った。このため、培養中の細胞は、部分的な脱離が生じ、密な接着状態から次第に疎らな状態となり剥離片は得られなかった。
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Research Products
(11 results)