2009 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトマターメゾスコピック系ダイナミクスの極限計測
Project/Area Number |
20360019
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
影島 賢巳 Osaka University, 工学研究科, 准教授 (90251355)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / ソフトマター / 磁気力 / ステップ応答 / 溶媒和 / 粘弾性 / 遅延時間 |
Research Abstract |
今年度は主として、親水性のマイカの表面で水が作る溶媒和(水和)層中のダイナミクスを、原子間力顕微鏡(AFM)を用いた粘弾性計測から探る目的で、実験手法開発を含めて研究を行った。独自に開発した広帯域磁気励振AFM装置の高周波帯域での性能向上を目指して、カンチレバー変位の検出系などに改良を加え、1nm以下の微小振幅での計測が可能となるようにした。カンチレバーの高次共振モードを利用して、100Hz台から100kHz以上の3桁余りの範囲でカンチレバーの励振周波数を変化させながら、探針をマイカ表面に接近させて粘弾性の距離依存を計測し、水和層の粘性抵抗係数と弾性係数の比としての遅延時間を求めた。その結果、低周波域では遅延時間の励振周波数への依存性は弱いが、10kHz近くの遷移領域を境に高周波側に行くにつれて、周波数の逆数に漸近する特異な挙動が観測され、現在解析中である。 また、別の計測法の可能性として、同じくマイカ表面近傍での水層の粘弾性を、カンチレバーに加えた矩形状の磁気力に対する応答として計測することを試みた。ステップ応答はマイカ基板近傍と600nmはなれた場所では明らかな違いを示し、これから粘弾性応答のスペクトルを得られる可能性を示唆するものであった。この成果について1つの論文および2つの国際学会において発表した。
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Research Products
(3 results)