2008 Fiscal Year Annual Research Report
バリア層組成揺らぎを利用した量子構造における弱局在状態の制御
Project/Area Number |
20360021
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
斎木 敏治 Keio University, 理工学部, 准教授 (70261196)
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Keywords | 量子井戸 / 量子ドット / 界面物性 / 励起子 / 波動関数 / 近接場光学顕微鏡 / 磁気発光分光 |
Research Abstract |
低温(5K)で動作する近接場光学顕微鏡を使用し、GaAs界面揺らぎ量子ドットに閉じ込められた励起子の発光イメージング分光をおこない、以下の2つの重要な結果を得た。 1.量子ドット内に形成されたバリア層揺らぎに起因した浅いポテンシャル構造を可視化するため、励起子と励起子分子の有効質量の差、さらにそれに起因するエネルギー障壁層への波動関数の染み出しの違いに着目した。この差異は特に浅い閉じ込めポテンシャルにおいて顕著であり、その可視化にあたって良い指標となることを見出した。実験結果を、時間領域差分法を用いた波動関数シミュレーションと対比することにより、弱局在ポテンシャルの空間広がりとエネルギー深さを定量的に推定可能であることを示した。 2.低温・磁場(<5T)下で動作する近接場光学顕微鏡を使用し、同一試料の磁気発光分光をおこない、量子ドット近傍の空間電荷による波動関数の歪みの可視化をおこなった。経年変化によって試料内に取り込まれた不純物から余剰電子が供給され、その結果、量子ドット内に荷電励起子が形成されることを、磁気光学分光を通して明らかにした。具体的には、反磁性シフトの特異的な振る舞いを通して、余剰電子の存在を裏付けた。さらにこの余剰電子が量子ドット近傍のトラップサイトとの間を熱的励起を介して往復していること、トラップサイトの余剰電子が発生する電場により波動関数が歪んでいることを実空間マッピングを通して明らかにした。
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