2008 Fiscal Year Annual Research Report
ドーパントイオン照射によるナノスケール表面改質素過程のリアルタイムSTM観察
Project/Area Number |
20360023
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大泊 巌 Waseda University, 理工学術院, 教授 (30063720)
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Keywords | ナノ構造物性 / ナノ表面・界面 / ナノ構造作製 / ナノ計測 / ナノ物性制御 |
Research Abstract |
ドーパントイオン照射によるSi表面のナノスケール改質素過程を、原子分解能でリアルタイムに観察するシステムを開発する目的で、平成20年度は以下のことを行った。 (1)非破壊照準システムの開発とSi清浄表面へのドーパント注入過程のSTM観察イオンビーム照射前後の基板表面をその場かつリアルタイムに観察できる研究代表者らの独自のSTM技術を発展させ、リン(P)などのドーパントイオン照射の様子を観察するための試料非破壊型のビーム照準システムを開発した。低輝度、短寿命のPイオン源(液体金属イオン源型)のビーム照準に対応するため、ビーム走査と電流検出によりビーム照射領域を可視化する吸収電流像機構に、新規に開発したビーム照準マークとしての仮標的機構を組み合わせることで、STM観察の準備をした後にビーム照準調整できるシステムを構築した。これにより、探針先端や試料を破壊することなくビーム照準を合わせることが可能となり、実験効率を飛躍的に高めることに成功した。本システムを用いて、Pイオン照射により誘起されるステップの後退や表面空孔アイランドの形成・消失など、表面形状の構造変化の素過程を観察した。 (2)表面不活性化のためのガス導入機構の準備 また、浅い位置に停止したドーパントの電子状態をSTM観察するために、表面を不活性化するための水素ガス導入機構構築の準備を行った。真空排気系の設計および物品準備などが終わり、平成21年度にSTM観察後の水素終端を試みる予定である。 以上の成果の意義は、“ドーパント"イオン照射固体表面のその場かつ直接観察を可能とする新しい計測装置をはじめて実現したことにある。開発した手法により、Siの超LSI製造において重要なドーパントおよび点欠陥の挙動について、原子レベルで定量的に議論できるようになりつつある。
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Research Products
(53 results)