2009 Fiscal Year Annual Research Report
ドーパントイオン照射によるナノスケール表面改質素過程のリアルタイムSTM観察
Project/Area Number |
20360023
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大泊 巌 Waseda University, 理工学術院, 教授 (30063720)
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Keywords | ナノ構造物性 / ナノ表面・界面 / ナノ構造作製 / ナノ計測 / ナノ物性制御 |
Research Abstract |
ドーパントイオン照射によるSi表面のナノスケール改質素過程を、原子分解能でリアルタイムに観察するシステムを開発する目的で、平成21年度は以下のことを行った。 (1)不純物イオン照射によるSi表面ナノ改質素過程のリアルタイムSTM観察:Auイオン注入によるSi(111)表面のリアルタイム観察に成功した。初年度(平成20年度)に開発したビーム照準システムを用いて、Auイオン照射による表面改質素過程をリアルタイムSTM観察した。Auの存在を示すSi(111)-5×2Au再構成構造および空孔サイズの経過変化から、関与するAu原子の拡散速度を評価したところ、注入したAu原子は結晶欠陥とほとんど相互作用せずに移動している可能性が示唆された。実験観察困難な表面直下における結晶回復速度や拡散種の挙動に関する情報を得る方法として、本手法の有効性が実証された。 (2)STM/イオン銃複合装置への水素ガス導入機構の導入:STM-イオン銃複合装置内でSi表面を水素終端できる機構を組み込んだ。水素終端はフィラメント加熱によるクラッキング方式とし、水素ガス分圧、フィラメント温度、水素ガス暴露時間などの条件を探索したところ、水素終端されたSi(001)-2×1表面の観察に成功した。本システムの構築により、Si表面へのドーパントイオン照射からの後の水素終端までの一連の処理がIn-Situできるようになった。 (3)ナノワイヤトランジスタの作製:『ナノワイヤ構造』および『酸化誘起歪印加』の二つの技術を採用したナノスケールトランジスタを開発した。ナノワイヤチャネル領域に周辺酸化膜起因の歪を印加することにより、単位断面積あたりの電流駆動能力が2倍程度まで向上する事を確認した。また低温から室温領域における電気測定の結果、ナノワイヤ構造ではフォノン散乱による電流駆動能力の劣化が効果的に抑制されることが判明した。
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Research Products
(32 results)