2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20360035
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
川俣 純 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40214689)
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Keywords | 二光子吸収 / 光メモリ / 三次元光記録 / 非線形光学 / 無機-有機ハイブリッド / 有機材料 |
Research Abstract |
有機化合物の示す二光子吸収を利用した多層光記録には、ポストブルーレイ次世代大容量光記録の候補として期待がもたれている。二光子多層光記録を実現するためには、実際に記録メディアとしての利用が想定される、スピンコート膜のような固相薄膜状態で、二光子吸収断面積(二光子吸収の効率を示す量)が大きい化合物の開発が不可欠である。 本年度は、独自に開発した固体試料の二光子吸収断面積の測定技術を駆使することで、これまでは難しかった固相薄膜状態にある有機色素の二光子吸収特性の評価を可能とし、固体状態と様々な溶媒への溶液とした状態との同一の化合物における二光子吸収挙動の変化を精査した。その結果、二光子吸収も、一光子吸収と同様に顕著なソルバトクロミズムを示すことが解明できた。例えば、ビス(ジメチルアミノシンナミリデン)シクロペンタノン(DMACCP)のテトラヒドロフラン中での二光子吸収断面積は1280GMであったのに対し、ベンジルアルコール中では500GMに過ぎなかった。一方、固体試料で測定した二光子吸収断面積は3800GMにも及んだ。このように、二光子多層光記録のための有機化合物を選別する際には、実際に用いられる固相状態での評価が極めて重要であることを実証した。 また、固相状態でDMACCPの二光子吸収断面積が増加した理由を明らかにするために、粘土鉱物と高効率二光子吸収材料との複合系をモデルとした解析を行った。その結果、固相状態で一部の分子がJ会合体に類似したパッキングをとると、二光子吸収断面積が10倍以上にも大きくなることを明らかに出来た。
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Research Products
(22 results)