2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20360035
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
川俣 純 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40214689)
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Keywords | 二光子吸収 / 光メモリ / 三次元光記録 / 非線形光学 / 無機-有機ハイブリッド / 粘土鉱物 |
Research Abstract |
有機化合物の示す二光子吸収を利用した多層光記録には、ポストブルーレイ次世代大容量光記録の候補として期待がもたれている。そこで本研究では、二光子多層光記録を実現するために、実際に記録メディアとしての利用が想定される、スピンコート膜のような固相薄膜状態で、かつ、光記録に実際に用いられる波長で、二光子吸収断面積(二光子吸収の効率を示す量)が大きい材料の開発を目指した。 前年度までの研究で、ある種の有機化合物を粘土鉱物との複合体固相膜にすると、DVD-Rの記録に用いられている波長である660nmにおいて、13000GMにも上る二光子吸収断面積を示す固体試料の創製に成功し、研究の目標を達成することが出来た。 しかし、全ての色素の二光子吸収断面積が、粘土鉱物との複合膜化で顕著に増加するわけではないことも明らかとなった。そこで本年度は、粘土鉱物との複合膜化で、二光子吸収断面積がどの程度増加するのか、定量的に予測できるようにするための研究を進めた。その結果、(1)溶液状態では有機化合物が三次元的にランダムな配向をとっているのに対し、複合体中では有機化合物の配向が二次元に制限されるので、入射光が効率良く吸収される効果、(2)無機層状化合物の層間という二次元平面内に有機化合物が閉じ込められることで、有機化合物の平面性が向上し、遷移モーメントが大きくなることによる効果、(3)粘土層間という疎水的な環境に有機化合物が置かれることによる効果、(2)に起因する(4)デチューニングエネルギーが減少することによる効果により、二光子吸収断面積が増加することを突き止めた。この知見に立脚し、極めて効率の高い二光子吸収材料を実際に創製できた。
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Research Products
(26 results)