2010 Fiscal Year Annual Research Report
半導体量子構造における表面音響波を用いた電子・光物性制御
Project/Area Number |
20360038
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松田 理 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (30239024)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WRIGHT Oliver 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90281790)
友田 基信 北海道大学, 大学院・工学研究院, 助教 (30344485)
|
Keywords | 半導体量子井戸 / フォトルミネッセンス / 表面音響波 / キャリア輸送 / 超高速分光 / 圧電性 / 励起子 / イメージング |
Research Abstract |
本研究の目的は、超短光パルス照射によって半導体試料に励起された表面音響波を用いて、半導体試料中の励起子を自在に輸送し、またその励起子の寿命を制御する手法を開発・発展させることである。量子井戸層を表面近傍に持つ圧電性半導体試料における表面音響波は、量子井戸層の伝導帯および価電子帯エネルギー準位を変調し、光励起された励起子を面内方向に閉じ込め輸送する動的なポテンシャル井戸を形成する。変調された伝導帯・価電子帯ポテンシャルの山同士・谷同士が同じ位置にできる場合は、励起子を構成する電子と正孔が空間的に分離され励起子の寿命が著しく増大する。対向する波の干渉や、金属膜による圧電場の短絡などの方法でこの動的ポテンシャル井戸を消滅させることにより、励起子を再結合させることができる。 前年度に開発した時間分解表面音響波2次元イメージングとフォトルミネッセンス2次元イメージングを試料の同一部位に対して行える装置を改良し、ルミネッセンスイメージングの空間分解能を10μm程度にまで高めた。同装置と低温測定用のクライオスタットを組み合わせGaAs基板を用いた予備実験を行い、10K程度の温度で音響波・ルミネッセンスイメージを取得できることを確認した。また、ビームスプリッタとシリンドリカルレンズを用い、平行な2本の線状の領域を励起できる励起光学系を構築し、予備的な測定を開始した。さらに前年度に構築した光弾性効果による複屈折現象を用いた音響場検出の理論を整理し、専門学術雑誌Journal of the Optical Society of America Bに投稿、掲載された。この方法は試料面内方向に平行な変位にも感度を持ち、音響場の定量的測定にも有効である。
|
Research Products
(5 results)