2011 Fiscal Year Annual Research Report
導体量子構造における表面音響波を用いた電子・光物性制
Project/Area Number |
20360038
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松田 理 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (30239024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WRIGHT Oliver 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90281790)
友田 基信 北海道大学, 大学院・工学研究院, 助教 (30344485)
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Keywords | 半導体量子井戸 / フォトルミネッセンス / 表面音響波 / キャリア輸送 / 超高速分光 / イメージング / 圧電性 / 励起子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、超短光パルス照射によって半導体試料に励起された表面音響波を用いて、半導体試料中の励起子を自在に輸送し、またその励起子の寿命を制御する手法を開発・発展させることである。量子井戸層を表面近傍に持つ圧電性半導体試料における表面音響波は、量子井戸層の伝導帯および価電子帯エネルギー準位を変調し、光励起された励起子を面内方向に閉じ込め輸送する動的なポテンシャル井戸を形成する。変調された伝導帯・価電子帯ポテンシャルの山同士・谷同士が同じ位置にできる場合は、励起子を構成する電子と正孔が空間的に分離され励起子の寿命が著しく増大する。対向する波の干渉や、金属膜による圧電場の短絡などの方法でこの動的ポテンシャル井戸を消滅させることにより、励起子を再結合させることができる。前年度に開発・改良した時間分解表面音響波2次元イメージングとフォトルミネッセンス2次元イメージングを試料の同一部位に対して行える装置を用いて、試料上の一点に音響波励起用の光パルスを集光し、別の点にフォトルミネッセンス励起光パルスを集光して照射し、音響波伝播によってフォトルミネッセンス強度が変化するかどうかを調べた。各光の集光パターン、2点間の距離および光パルスの試料到達時間差を変化させながら詳細な測定を行ったが、音響波伝播によってフォトルミネッセンス強度が変調されていると明確に示す信号は得られなかった。原因として音響波の励起強度が不足していることが考えられる。一方、前年度に確立した光弾性効果による複屈折現象を用いた音響場検出法については、異方性媒体上の音響波検出においても適用できるように理論を拡張し、これに基づいて実際の異方性物質(TeO<2>)の測定結果を解析し定性的な理解を得る。また音響波伝播の高感度測定のためのヘテロダイン法の開発を行い、良好な結果を得た。
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Research Products
(2 results)