2008 Fiscal Year Annual Research Report
高感度・局所センサーのためのテラヘルツストリップ線路構成法の確立
Project/Area Number |
20360039
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
角屋 豊 Hiroshima University, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (90263730)
|
Keywords | テラヘルツ / ストリップ線路 / 時間領域分光 / センサー |
Research Abstract |
本研究はTHz周波数領域における固体ストリップ線路技術を確立し,A)極微量試料の誘電率変化を捉えるための線路構成を比較検討して性能や課題を明らかにすること,B)線路上を伝播するTHz波を用いた局所センシングの可能性を明らかにすること,が目的である。以下に項目ごとに成果を記す. A)線路デザイン:THz時間領域分光に共通の課題である参照信号の同時取得を可能にするため,FDTD数値計算により線路分岐に関する詳細な検討を行い,45°曲げおよび分岐においても2THz程度までは良好な伝送特性が維持できることなどを明らかにした,またこの結果を検証するための実験に着手した.素子特性:マイクロストリップ線路の誘電体層の形成方法を見直し,窒素雰囲気中でのキュアにより損失が大きく低減でき,かつ素子作製の歩留まりを向上できる条件を見出した。計測系の改善:固体ストリップ線路を用いた時間領域分光測定におけるノイズを詳細に調べ,現状ではTHz波発生・検出用励起光の照射位置揺らぎが支配的であること,またこの影響は時間領域スキャンを高速に行って平均化することも有効であること,またその場合のノイズ源は信号増幅用電流アンプとなることなどを明らかにし,改善のための実験系の準備を行った. B)線路デザイン:FDTD数値計算により,ストリップ線路と金属片を組み合わせた局所プローブが可能であることを確認し,位置関係などについての最適化をほぼ終了した.素子作製:低誘電率基板と相性のよい保護膜としてパリレンを用いた素子作製を精力的に行ったが,膜質の問題により高歩留まりで素子を作製することは困難であることが明らかになった.FDTD予測の結果によれば低誘電率基板を用いない線路でも局所プローブが実現できる予想を得たことから,次年度はこの探索の優先順位を下げる予定である.
|