2010 Fiscal Year Annual Research Report
高感度・局所センサーのためのテラヘルツストリップ線路構成法の確立
Project/Area Number |
20360039
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
角屋 豊 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (90263730)
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Keywords | テラヘルツ / 光物性 / 電子デバイス・機器 / センサー |
Research Abstract |
今年度は極微量な試料のテラヘルツセンシングのための差動検出方式のストリップ線路センサー,おおび共振器構造を含むストリップ線路に関する研究を行い,下記の成果を得た. ○差動検出が可能な分岐マイクロストリップ線路:Y型の分岐と45度曲げを有するマイクロストリップ線路では1THzまでの良好な伝搬特性が得られるという前年度までの成果に基づき,改良を行ってSN比を格段に向上させた測定系を構築し,分岐後の2つの検出点におけるテラヘルツパルスの同一性の検証を行った.また,素子も新たに多数作製し,再現性の確認も行った.この結果,分岐後のパルスの振幅比が500GHzまで±0.5%以下,THzで±1%以下となることを実証した.また位相においては1THzでも±1.5度,絶対位相との比で±0.05%という極めて優れた同一性が得られた.この結果は,特に試料の吸収が少なく屈折率の差を捕えるセンシングにおいて,本方式が非常に有望であることを示している.さらにこの方式は分光情報が一度に得られるため,スペクトルに特徴的な構造がない場合でも有効である. ○共振器構造を有するストリップ線路:数値シミュレーションによる予測においては,シミュレーション上の誤差を十分に低減した上で,基本的な共振構造である1/4波長インライン共振器において,マイクロストリップ線路とコプレーナ線路を比較したところ,有意な差はなく,500GHz設計の共振器で試料の屈折率差0.6においても数10GHzの変化があることが示された.また,実際にマイクロストリップ線路素子を作製して共振特性を評価し,シミュレーションと有意な差のない共振器を構成し得ることを確認した.
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