Research Abstract |
本研究では,プラズマを用いてナノブロックの3次元構造体の作製と配置を実現する工場を構築するため,その要素技術であるナノブロックの輸送と配置についての科学・技術基盤を確立することを目的としている。具体的には,ナノブロックとしてナノ粒子を用い,ナノ粒子がプラズマ中で帯電することを利用して,その収束ビームとビーム走査を実現するとともに,プラズマ異方性製膜を応用し,ナノ粒子の大量輸送と基板平面上の微細構造への自由な配置を実現する。今年度は,ナノ粒子配置制御について,局所的な電位構造を形成して3次元輸送を試みた。 実験では,容量結合高周波放電装置を用いた。接地電極に長さの異なる2つの突起物を設置して,局所的な電位構造を形成した。振幅変調パルス放電では,変調中に最も長い突起物へ集中する方向へとナノクラスターが3次元的に高速輸送されるのに対して,無変調パルス放電では突起物の有無によらず接地電極方向へ低速で輸送された。また,2つの突起物が同じ長さの場合,中心より遠い位置に設置した突起物ヘナノ粒子が高速輸送された。これらの結果は,振幅変調パルス放電と電極形状の工夫を組み合わせることにより,プラズマ中で発生したナノ粒子を任意の場所に輸送して自由な配置を実現することが可能であることを示している。また,ナノ粒子輸送に対する放電電極サイズの効果をしらべた。前述した直径10mmの場合に比べて,直径20mmの場合,ナノ粒子の高速輸送は観測されなかった。この結果から,ナノ粒子の高速輸送はイオン効力が重要なパラメータであることを示しており,パルス変調放電によるイオン抗力はナノクラスターの3次元輸送を高速でON,OFFできることから,ナノクラスターの輸送制御に有効であることを明らかにした。
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