2010 Fiscal Year Annual Research Report
周期的領域の周期・非周期波動問題における高速多重極法の研究
Project/Area Number |
20360047
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 直志 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90127118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 仁 京都大学, 情報学研究科, 講師 (90359836)
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Keywords | 高速多重極法 / 波動問題 / 周期問題 / 前処理 / Maxwell方程式 / 弾性波動 |
Research Abstract |
我々の開発した波動問題の周期高速多重極法はフォトニック結晶やメタマテリアルなど、種々の工学的応用を有している。しかし、その適用範囲は完全な周期構造に限られる。本研究は、波動問題における周期高速多重極法の適用範囲を拡大し、Helmholtz方程式、Maxwell方程式、及び弾性波動方程式において、周期構造に周期的でない境界条件を与えた問題や、構造の周期性に乱れがある問題などの高速多重極法による解法を開発する事を目的とする。平成22年度は、共振アノマリの対策としてCalderonの式を利用した前処理法について研究した。Maxwell方程式への応用を意識して、Helmholtz方程式のGalerkin法を用いた解法を取り扱い、方程式を正しい順番に並べると、Gram行列を前処理行列に用いるだけで十分な前処理効果を期待できることを示した。平面波入射問題では周期境界条件下の散乱問題が常に解けるので、Calderonの式による前処理法によって共振アノマリの問題は解決したと考えられる。なお、Maxwell方程式への拡張は角のない領域では一定の成果を得たが、一般の場合への拡張は今後の課題となった。周期性に乱れのある領域での波動散乱問題についてはFloquet変換を用いた定式化を行い、反復解法によってこれを解く方法を検討し、数値実験により材料定数のコントラストがあまり強くない場合には、解の収束が得られることを確かめた。また、スーパーエレメント法による解との比較によって、その精度を確認することができた。3次元動弾性学におけるNavier-Cauchyの運動方程式の周期多重極法の研究においてもCalderonの前処理を実装し、共振アノマリの場合も含めてその効果を確認した。また、周期構造の単位が非周期方向に長い場合への拡張を実施することができた。
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Research Products
(12 results)