Research Abstract |
多粒子分散系への適用を主眼として,2次元円形粒子(円柱)まわりの流れを取り上げ,格子ボルツマン法に関する種々の検討を行った.多粒子分散系への適用で重要な点は,懸濁粒子に対してより大きな格子を用いることができれば,多くの微粒子を懸濁した分散系を取り扱うことができる.従って,本研究では,多粒子分散系に有用な境界条件や格子粗さなどの影響を主に検討した.多粒子分散系に対して有用と思われる少ない格子点で処理が可能な平衡線形YMLS法を提案し,その有効性を主に検討した.粒子直径を5分割するような非常に粗い格子を用いても,第1近似としてのシミュレーションが可能であることが明らかとなった.従って,格子ポルツマン法は粒子の多体流体力学的な相互作用を考慮したシミュレーション法として,非常に可能性のあるシミュレーション法であるとの結論が得らた. 次に,粒子の多体流体力学的相互作用を考慮したシミュレーション法としての格子ボルツマン法の可能性を,2次元系の磁性粒子からなるサスペンション系の凝集現象に着目して検討した.得られた結果を要約すると以下のようになる.比較的粗い格子を用いた場合,通常の格子ボルツマン法でも,粒子の並進および回転のブラウン運動が物理的に妥当な形で誘起される.一方,緻密な格子を用いた場合,粒子のブラウン運動が誘起されず,聞違った凝集構造を与えてしまう.従って,緻密な格子を用いる場合,従来の格子ボルツマン法の基礎方程式にランダムカを発生させる新たな項を包含させる必要があることを明らかにした.
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