2009 Fiscal Year Annual Research Report
磁性粒子のブラウン運動誘起を可能にする格子ボルツマン法の構築と粒子分散系への応用
Project/Area Number |
20360048
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
佐藤 明 Akita Prefectural University, システム科学技術学部, 教授 (50211941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青島 政之 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (20315625)
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Keywords | 分子シミュレーション / 機能性サスペンション / ミクロ流体科学 / 格子ボルツマン法 / ブラウン運動 |
Research Abstract |
格子ボルツマン法の粒子分散系への適用に際して重要な点は、懸濁粒子のブラウン運動の誘起法の構築である。この方法として有望な方法は、Landau-Lifshitzの揺動流体力学の理論である。さらには、ブラウン動力学法で用いられるランダム力を直接懸濁粒子に付加する方法も考えられる。本年度では、懸濁粒子間に磁気力が作用し界面活性剤層が存在する磁性粒子分散系に対して、揺動流体力学の理論の妥当性、ならびに、ランダム力を懸濁粒子の基礎方程式に組み込んだブラウン動力学法と格子ボルツマン法のハイブリッド型のシミュレーション法の理論的背景ならびにその有効性を主に検討した。シミュレーションの結果の妥当性はモンテカルロ法の結果と比較することで行った。速度スケーリング法を両方法に組み込んだ場合、揺動流体力学型は、厳密解に近いと考えられるモンテカルロ法の結果とほぼ一致する結果を与えることがわかった。一方、ハイブリット型は、ブラウン動力学法的なランダムカを付加するだけでは、物理的に妥当な磁性粒子の凝集構造を高精度で再現するには困難であるということが明らかとなった。本研究より、従来の揺動流体力学に基づいたランダム変位の発生法では精度が不十分で、揺動流体力学の理論と速度スケーリング法を併用した格子ボルツマン・シミュレーション法が、磁性粒子分散系の場合非常に有効であることが明らかとなった。ゆえに、本シミュレーション法を用いれば、磁性粒子の多体流体力学的な相互作用を考慮したシミュレーションが可能になるという大きな成果が得られることになる。
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Research Products
(20 results)