2010 Fiscal Year Annual Research Report
磁性粒子のブラウン運動誘起を可能にする格子ボルツマン法の構築と粒子分散系への応用
Project/Area Number |
20360048
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
佐藤 明 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (50211941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青島 政之 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (20315625)
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Keywords | 分子シミュレーション / 機能性サスペンション / ミクロ流体粒子 / 格子ボルツマン / ブラウン運動 |
Research Abstract |
本年度では、環境工学への応用を念頭に置いた、重力場および磁場勾配中の熱力学非平衡状態の流れ場に適用できる格子ボルツマン法の構築を行った。前年度で開発した速度スケーリング法を参考にし、粘度を修正することでランダムカを最適化する粘度修正法の構築を行った。この方法を揺動流体力学法に基づく格子ボルツマン法に組み込むことで、熱力学的非平衡状態の粒子分散系の流れ場と粒子の運動を同時に解析することを可能にした。本方法を磁場勾配下の磁性粒子分散系の2次元ポアズイユ流に適用し、磁性粒子間の多体流体力学的な相互作用を考慮したシミュレーションを行うことにより、粒子の挙動に及ぼす磁場勾配、粒子間磁気力、ポアズイユ流の流速などの影響を詳細に解明した。具体的には、時間とともに磁性粒子が磁極まわりにどのように凝集もしくは下流に流れていくかをスナップショットおよび各種分布関数に着目した解析を行うことで、粒子の運動に及ぼす諸因子の影響を詳細に解明した。 さらに並行して、レーザー光に基づいた可視化実験装置システムの構築を行い予備実験を通してその有効性を明らかにした。本年度では本システムを用いた今後の実験的研究を精力的に推進する上で基礎となるデータ取得を目的に、濁度計による実験的な研究を主に遂行した。環境工学的な観点から、汚濁粒子を捕獲しながら重力場中で沈降する捕獲粒子の挙動を、粒子径・粒子径分布・粒子の体積分率などの影響を詳細に解明した。 以上より、粘度修正法に基づく格子ボルツマン法はサスペンション物理工学の学問的体系化に大きく寄与するものであり、また重力場中での微粒子の沈降現象の実験的研究は今後のサスペンション物理工学の環境工学への展開を可能にする先駆的な研究と位置づけられる。
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Research Products
(14 results)