2008 Fiscal Year Annual Research Report
長時間スケールの解析を可能にする位相空間サンプリング分子動力学法の開発
Project/Area Number |
20360051
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
泉 聡志 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (30322069)
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Keywords | 機械材料・材料力学 / 分子動力学 / マルチスケール解析 / 転位 / 加速分子動力学 |
Research Abstract |
本研究では、分子動力学の時間スケールのギャップの問題を解決し、長時間スケールのシミュレーションを可能にする位相空間サンプリング型分子動力学法の開発を行う。具体的には、加速MD手法とNEB法を有機的に結合する。加速MD手法は、あらゆる起こりうる反応経路をサンプリングするための手法として用い、サンプリングされた反応経路をNEB法によって詳細解析する。研究期間内では、最初の適用先として、半導体素子の単結晶シリコンの転位生成の初期過程を取り扱う。 平成20年度は、加速MD手法とNEB手法を結合した位相空間サンプリング分子動力学シミュレータのために、加速MD手法で得られた様々な原子の軌跡を使って、NEB法を行うソフトウェアを開発した。そして、実際の転位生成現象への適用のために、インターフェースなどの周辺部分についても開発を行った。結果の一部は、Journal of Applied Physicsへ投稿され、採択された。 次に、転位の生成過程を表現する分子動力学ポテンシャルの開発のために、汎用電子状態計算ソフトVASPを使って、様々な転位の解析を行い、結果を合わせこんだポテンシャル作成を試みた。ポテンシャル作成の手法は完成したため、データの収集をさらに行う予定である。手法の一部は、Journal of Applied Physicsへ投稿され、採択された。 最後に、作成したポテンシャルを用いて、実際に位相空間サンプリング分子動力学を行い、生じうる様々な転位現象をシミュレートした。具体的には、様々な応力場(応力場の形態・強さ)での転位生成、発生起点の状態依存性(表面、界面、再配列)などについて検討した。
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