2010 Fiscal Year Annual Research Report
長時間スケールの解析を可能にする位相空間サンプリング分子動力学法の開発
Project/Area Number |
20360051
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
泉 聡志 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (30322069)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 信介 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80134469)
原 祥太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任講師 (10401134)
|
Keywords | 機械材料・材料力学 / 分子動力学 / マルチスケール解析 / 転位 / 加速分子動力学 |
Research Abstract |
開発した位相空間サンプリング分子動力学法を実際の転位の問題への適用した。半導体素子は、多種の薄膜で構成され、膜が堆積時の真性応力や熱応力を有するため、シリコン基板内には高い応力が生じる。膜の構成過程は、通常800℃以上の高温で行われるため、シリコンは脆性破壊せず、転位を放出する延性破壊をする。たとえば、シリコン上に堆積したSiN膜の真性応力により転位が発生する。発生した転位をTEMやエッチングなどにより観察すれば、転位発生応力の温度依存性データが実験的に得られる。 筆者らは、現在までに開発済みの転位動力学ソフトウェアを使って、この転位の解析を行っていたが、数nmのサイズの転位発生条件は転位動力学の適用範囲外なため、試行錯誤でその条件を決めていた。本研究の成果によりは、この発生条件を明らかにすることが可能になり、結果は、J.Apply.Phys.に投稿され、採択された。 本結果は、日立・東芝と行った共同研究の実験データを説明することが出来き、半導体素子の転位発生評価法の確立・一般化が出来たものと考えられる。また、MEMSの分野で低温域で発生するShuffle-set転位についての解析も同時に行い、これもMEMSにおける転位の発生の実験結果とよく対応することがわかった。結果の一部は、Philo.Mag.Lett.に投稿され、採択された。 加えて、ナノピラーへの適用も行い、Phys.Rev.Bへ投稿し、採択された。
|