2010 Fiscal Year Annual Research Report
統計解析と損傷電子センサによる疲労試験不要のシリコン材料疲労信頼性評価体系の創出
Project/Area Number |
20360052
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
神谷 庄司 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00204628)
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Keywords | マイクロマシン / シリコン / ポリシリコン / 強度 / 初期損傷 / 疲労破壊 / 寿命予測 |
Research Abstract |
研究計画最終年度の平成22年度では、研究成果の構造設計への応用を視野に、任意形状構造への理論の拡張と統計的寿命予測手法の精度検証を重点的に検討した。この結果、前年度までに確立した疲労過程を初期強度を決定する等価き裂の進展則として記述する理論を構造表面の任意微小部分に適用することで、均一な応力分布を有する標準的試験片の実験結果から応力集中部を有する構造の疲労寿命が推測可能であることが見出された。さらに、推測統計の手法を新たに導入して、等価き裂進展則を実験結果にフィットして得られるパラメータの分布を解析した結果、均一応力分布を有する試験片のデータにおいては把持部に現れるわずかな応力集中に起因する破壊確率が、実験結果の統計的性質を無視できないほどに歪めることが明らかとなった。このため、材料本来の特性はむしろ応力集中部を有する試験片の結果により的確に現れる。これらの知見は、加速寿命試験に関連した前年度の成果とあわせて、シリコンを主な構造材料とする実際のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)構造の強度と寿命の定量的な設計を可能ならしめる重要な成果である。一方、脆性材料であることに起因する上記の統計的特徴は、設計基準の根拠となるデータの取得に対して重要な指針を与える極めて重要なポイントと考えられる。これらの成果は、次頁の研究発表の項に記したごとく、2件の招待講演を含む国内外多数の学会で公表されており、さらに複数の論文が投稿中となっている。 一方の損傷の電子的センシングについては、前年度までに用いていた金属蒸着により形成されたショットキ電極の不安定性と寿命が懸念されていたが、新たにイオンインプランテーションによるp-n接合を用いても同様に損傷に起因する電気信号が得られることが確認され、機械的疲労過程における電子的計測手法を用いたリアルタイム損傷モニターの実用可能性に一歩近づく成果が得られた。
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Research Products
(11 results)