2008 Fiscal Year Annual Research Report
ガイド波による不完全界面・不完全結合部の定量的非線形超音波スペクトロスコピー
Project/Area Number |
20360053
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
琵琶 志朗 Kyoto University, エネルギー科学研究科, 准教授 (90273466)
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Keywords | 超音波 / 接触界面 / 高調波 / 非線形特性 / レーザドップラー振動計測 / バースト波 / ラム波 / ガイド波 |
Research Abstract |
閉じたき裂やはく離などの不完全界面・不完全結合部を有する構造・機能部材に対して,ガイド波と呼ばれる超音波伝搬モードの非線形特性の定量評価(ガイド波定量的非線形超音波スペクトロスコピー)に基づく非破壊評価法を提案することを目的として,平成20年度は以下の検討を行った. まず,アルミニウム薄板を2個のアルミニウムブロックの間に挟み込んで加圧圧縮させ,不完全界面(接触界面)を有する板材試験片を構成した.この試験片に対して,ガウス関数で振幅変調した周波数1MHzの正弦波信号をバースト波パルサー・レシーバーで増幅して斜角入射圧電探触子を駆動することにより,大振幅ラム波を励起し,ブロックとの接触部を伝搬したラム波波形(表面速度波形)をレーザドップラー振動計により測定した.つぎに,収録波形に対して短時間フーリエ変換を適用してスペクトル成分を解析し,基本波成分および2次から5次までの高調波成分の大きさと接触圧力の関係を調べた.この結果,特に3次高調波成分が接触圧力変化とともに顕著に変化し,ある接触状態(圧力レベル)で極大値を取ることを示した.この実験結果に対して,ミンドリン平板理論に非線形界面モデルを組み込んで簡単な理論解析を試み,接触非線形性により奇数次高調波が顕著に発生することを理論的観点からも示し,実験結果が定性的に裏付けられた. 本研究で接触界面を有する板材を伝搬するラム波の非線形特性の特徴が明らかとなったことにより,大振幅ラム波の非線形性に着目した不完全界面の非破壊評価の可能性が示された.
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