2010 Fiscal Year Annual Research Report
ガイド波による不完全界面・不完全結合部の定量的非線形超音波スペクトロスコピー
Project/Area Number |
20360053
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
琵琶 志朗 京都大学, 工学研究科, 教授 (90273466)
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Keywords | 機械材料・材料力学 / 超音波 / ガイド波 / ラム波 / 高調波 / 分散性 / 時間領域差分解析 / 非破壊評価 |
Research Abstract |
板状部材や積層材などの薄肉構造に対して、ガイド波と呼ばれる超音波伝搬モードの非線形特性に着目した非破壊評価法を提案することが本研究の目標である。平成20年度、21年度の研究において、接触界面や接着界面などの不完全界面・不完全結合部を有するアルミニウム合金板に対して、ラム波と呼ばれるガイド波の非線形伝搬特性を実験的、理論的に検討した。それにより、板材におけるラム波非線形挙動に着目するためには、ラム波の有する分散性と材料の応力-ひずみ非線形性が非線形伝搬挙動に与える影響を適切に理解することが重要なことが明らかとなった。そこで、今年度は、板材自体が応力-ひずみ非線形性を有する場合のラム波の非線形伝搬挙動について、理論的、数値解析的に検討した。まず、ラム波分散関係の理論解析から、非線形性により発生する高調波が伝搬距離とともに累積的に増大するための条件を系統的に導出した。本導出結果によれば、高調波が累積的に成長するような基本波の周波数やラム波モードをあらかじめ知ることができ、実験的評価に際して有用である。また、時間領域差分解析(FDTD法)による動弾性解析を、応力-ひずみ非線形性と幾何学的非線形性をともなう非線形弾性体に対して拡張し、ラム波の非線形伝搬挙動を解析する二次元数値計算コードを作成し、本研究で導いた累積得高調波発生条件を数値解析的に検証した。この数値解析法を用いれば、種々の送信条件におけるラム波伝搬挙動を予測でき、非破壊評価において有用なツールとなり得る。また、数値解析で得られた伝搬波形に基づいて、時間、空間両方向に関するフーリエ変換を用いて異なるラム波伝搬モードを分離できることを示した。
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Research Products
(4 results)