2008 Fiscal Year Annual Research Report
その場観察統合化ナノメカニカルテスティングによる環境ぜい化機構の解明
Project/Area Number |
20360054
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
箕島 弘二 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (50174107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平方 寛之 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40362454)
米津 明生 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (40398566)
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Keywords | その場観察 / ナノメカニカルテスティング / 環境ぜい化 / 高強度材料 / 塑性特性 |
Research Abstract |
平成20年度は,ナノインデンテーションを基盤技術に用いて,その場観察統合化ナノメカニカルテスティングシステムを開発し,これが仕様上の性能を有していることを確認した。さらに,本システムを用いて,試料表面をnmオーダに平滑にした実用上重要である焼き戻しラスマルテンサイト系高強度鋼,析出強化の支配的なマルエージ鋼に対して,強化機構発現の最小ユニットであるnmオーダの局所領域において,圧子の押し込み力‐押し込み変位特性を精密に,かつ再現性よく実測できることを確認した。さらに,ラスマルテンサイト系高強度鋼とマルエージ鋼に対して水素吸蔵の影響について検討を加えた。その結果,いずれの材料においても,マクロな塑性変形特性には吸蔵水素の影響は見られないが,nm領域では水素を吸蔵することにより塑性変形特性が影響を受けること,しかも,水素を放出することによりナノ塑性変形特性は水素吸蔵前と同一になり,ナノ塑性変形特性に及ぼす吸蔵水素の影響は可逆性を有することを明らかにした。しかも,塑性変形特性に及ぼす吸蔵水素の影響はラスマルテンサイト系高強度鋼と析出強化により高強度を実現しているマルエージ鋼では異なることを示し,それぞれの強度発現機構をモデル化した材料を用いて,吸蔵水素の影響について検討し,ナノ塑性変形特性に及ぼす吸蔵水素の影響をもたらす機構について検討を加えている。さらに,蒸着により成膜したナノ薄膜に対しても吸蔵水素の影響があることを示し,その発現機構について検討している。
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