2010 Fiscal Year Annual Research Report
MEMS機能デバイスを利用したセンサ用ナノ量子細線のマルチフィジックス特性評価
Project/Area Number |
20360060
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
磯野 吉正 神戸大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20257819)
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Keywords | ナノメカニクス / マルチフィジックス / MEMS / ナノセンサ材料 |
Research Abstract |
近年、急速に開発研究が進められてきたナノ材料を積極的に活用した新しいナノセンサや、革新的なナノシステムを開発することで、高度付加価値社会の実現が期待されている。そこで本研究では、ナノデバイス開発に必須となるナノ材料単体のナノメカニクス特性の高精度評価を目的に、『ナノ材料専用マルチフィジックス特性評価デバイス』の新開発、および同デバイス上の所望の位置にナノ材料を設置するための技術開発を通して、ナノ材料単体での機械特性評価を実施した。 研究の最終年度に当たる平成22年度は、1)マイクロマシニング技術を援用したナノ材料評価専用MEMSデバイスの試作完成、2)第一年度に開発した3軸ナノステージへのデバイス組み込み、3)カーボンナノチューブ(CNT)単体での引張試験を実施した。得られた成果は以下のとおりである。 1)ナノ材料引張駆動用の櫛歯型静電駆動マイクロアクチュエータを含んだ、MEMSデバイスの作製に成功した。また、静電駆動アクチュエータの変位を読み取るための静電式変位センサもデバイス内に併せて集積し、0.9nmの変位計測分解能を実現した。 2)ナノワークステーションシステムの開発に成功した。同システムに上記のMEMSデバイスを設置するとともに、システム全体を電子顕微鏡内に設置することで、MEMSデバイス上でナノ材料単体での捕獲、移動、固定操作を行うことが可能となった。 3)1),2)で得られた技術的成果に基づいて、CNT単体での引張試験を実施し、高精度な応力-ひずみ関係、ならびにCNT変形・破壊機構を解明することに成功した。CNTのヤング率は590GPa、破壊強度は4GPaであった。また、多層型CNTの場合、その破壊機構は層間隔離が初期段階で生じることが明確になった。なお、単軸応力下での電気抵抗変化については、時間の関係上、計測が出来なかったが、技術的な問題はすべて解決されており、引き続き研究を推進する予定である。
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