2010 Fiscal Year Annual Research Report
3次元温度場を創成するための積層立体チャネルチップの製作・制御技術の構築
Project/Area Number |
20360061
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土屋 健介 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (80345173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 政之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90242007)
濱口 哲也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任教授 (90345083)
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Keywords | 温度センサ / 熱制御アクチュエータ / 積層チップ / チャネル / 拡散接合 |
Research Abstract |
平成22年度は、前年度に引続き、(a)拡散接合による層間の接合技術の確立、(b)超精密温度センサ・熱デバイスを完成させるとともに、(c)上記技術を用いた積層立体チャネルチップの試作を行った。 (a)拡散接合による金属層間の接合技術の確立 材質は耐熱性、耐腐食性のほか、加工性、接合性を考慮して、オーステナイト系ステンレスSUS316Lの他、ハステロイ、インコネル等のニッケル系合金について検討した結果、SUS316Lがもっとも総合的なパフォーマンスが優れていることがわかった。またこの材料での拡散接合の制御パラメータとして、接合温度1100℃、加圧力10MPa、接合時間4時間が、最適な条件であることを明らかにした。引っ張り試験、シャルピー衝撃試験などを行わずに、接合面の接合強度を評価するために、接合面積率を新たにパラメータとして導入し、接合面積率が引っ張り強度およびシャルピー衝撃値と相関があることを示した。また、断面の観察像から接合面積率を見積もる方法を開発した。さらに、接合面積率と接合面における熱伝達率との相関を調べた結果、本研究で実現しているレベルの接合面積率ではバルク材料との違いが見られないことが分かった。 (b)超精密温度センサ・熱デバイスの開発 チャネル内部の各位置の温度を精密に測定するために、熱電対を微細化して超精密温度センサを開発した。これを流路内部ヘアクセスする方法として、接合界面への配線は絶縁膜の信頼性を確保するのが難しいことが問題であることが明らかになったため、本研究ではセンサ・熱デバイス専用の配線路を加工して積層する方法を提案し、着脱可能な微細温度センサを用いて反応流路内の任意の位置における温度測定が可能であることを示した。 (c)積層立体チャネルチップの試作 積層立体チャネルチップの試作するために、チップの設計は、流路が表面から裏面まで貫通する流路層と、流路を加工せずスルーホールのみを加工した隔壁層とを交互に積層することを提案した。この方法によれば、チャネル加工は、流路層、隔壁層に分けて加工すれば、それぞれ多層を一括で加工できるため、加工時間が大幅に短縮できる。本年度は、溶液反応の流路層と、冷却流路層を交互に100層配置したチップを試作した。さらに、(b)で提案したセンサ専用の配線路も作りこんで、流路内部の温度分布を計測し、内部に熱がたまりやすいという積層流路一般の問題点を明らかにし、それを冷却流路の導入によって解決できることを示した。
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Research Products
(2 results)