Research Abstract |
平成21年度は,前年度に構築した実験装置をベースにして,局在フォトン場として,液相下高NA集光ビームに焦点を絞り,提案手法加工メカニズムの解析を進め,以下の具体的な成果を得た. 1.加工ビーム水平指向型実験装置および4π局在場生成光学系の構築 具体的には,重力による加工特性への影響を考慮するために,従来の加工ビーム垂直指向型実験装置に加え,加工ビーム水平指向型実験装置を開発するとともに,集光局在場の空間サイズの影響解析を主目的として,高NA集光ビームを,干渉性を維持させつつ対向させ,集光立体角を倍増させる加工ビーム4π光学システムを開発した.これらに,前年度で開発した長作動距離顕微ユニットによるインプロセス観察機能を組み込んだ. 2.インプロセス観察に基づいた三次元微細構造創製メカニズムの推定 上記開発装置を用いて,創製メカニズム解明実験を実施した.ここでは,波長405nm,出力100mWの半導体レーザを用い,硝酸銀水溶液に光触媒ナノ粒子(粒径10μm,ブルッカイト型酸化チタン)を分散(15wt%)させた加工溶媒を用いた.結果,提案手法の三次元微細構造創製メカニズムは,1)液相空間内に三次元局在された光エネルギー場内に存在する酸化チタンナノ粒子の光触媒作用による銀イオン還元プロセス,2)還元析出銀原子の光吸収による熱生成プロセス,3)生成熱による酸化チタンナノ粒子分散雰囲気の局所的な破壊,4)局所的分散雰囲気破壊による酸化チタンナノ粒子の還元析出銀への局所的凝集,5)局所的凝集酸化チタンナノ粒子の光触媒作用による銀イオン還元プロセス(以降,繰り返し)といった光エネルギー局在場を起点とした複数の物理プロセスによって説明できることを明らかにした.
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