2010 Fiscal Year Annual Research Report
トライボコーティング潤滑膜の超低摩擦発現機構の解明と宇宙機器への応用
Project/Area Number |
20360072
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
足立 幸志 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10222621)
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Keywords | 固体潤滑 / 低摩擦機構 / ナノコンポジット / オーバーコート法 / 高周波プラズマCVD法 / スパッタリング法 |
Research Abstract |
宇宙機器のための新しい潤滑法として提案している「超高真空中トライボコーティング法(摩擦支援型蒸着膜形成法)により発生する超低摩擦機構の解明と,その低摩擦発生機構にもとづいた従来法では実現不可能な低摩擦を確実に与えるトライボコーティングシステムの設計指針を確立することを最終目的とする本研究において,3年目の本年は,低摩擦を発生するトライボコーティング膜のナノ構造を明らかにした.さらにこの知見に基づきトライボコーティング膜を模したナノ構造を有する新しい宇宙機器用潤滑膜を提案し,その有効性を実験により明らかにした. 得られた具体的な結果は以下の通りである. 1. 高周波プラズマCVD法およびスパッタリング法を併用して炭化ケイ素基板上に二硫化モリブデン含有ダイヤモンドライクカーボン(MoS_2-DLC)膜の成膜を試み,非晶質のDLC母相中に大きさが5-6nm程度のMoS_xクラスタが分散したMoS_x-DLC膜の成膜に成功した. 2. スパッタリング電力およびメタンガス流量を調整することで5種類のMoS1_x-DLC膜を成膜し,含有されるMoS_xの量を0.3-33.4 at.%に変化させることに成功した.また,含有されるMoS_xのS/Moの値は平均で0.87であることを明らかにした. 3. 厚さ0.48・mのMoS_2膜のオーバーコートをMoS_x-DLC膜に施すことによって,従来のMoS_2膜と比較して摩擦係数を3分の2から6分の1程度に低減できることを示し,新たに提案した潤滑膜の有効性を実証した.
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Research Products
(2 results)