2009 Fiscal Year Annual Research Report
シリコン/液体界面の電気化学的親疎水変化を利用したマイクロマシンの開発
Project/Area Number |
20360074
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
神谷 大揮 Tokyo Institute of Technology, 精密工学研究所, 助教 (60282860)
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Keywords | マイクロマシン / ぬれ / シリコン表面 / 電気化学 / 微細加工 |
Research Abstract |
本研究で提案する微小三次元構造製作技術のための加工装置を試作した.装置は主に,電動XYZステージ,制御用PC,スピンドル,紫外線光源,CCDマイクロスコープで構成される.微小径(0.1mm)のエンドミルを用いた切削加工(シリコン,ガラス,樹脂),ならびに紫外線スポット露光(φ0.2~1mm)とステージ走査による紫外線硬化樹脂のパターニング硬化が可能な複合装置である.位置決め精度は水平面内(X,Y方向)で1μm,垂直方向(Z方向)で0.25μmと,本研究での利用に対して十分な精度が得られている. アクチュエータ構造において液滴と接触するシリコン以外の部分の撥水性向上を目的に,カーボンナノファイバーを混入したふっ素樹脂をコーティングする方法を開発した.コーティング表面はナノファイバーによるサブμmの凹凸構造を有し,この表面形態とふっ素樹脂の撥水効果によって水滴との接触角が180°の超撥水面が得られた.また,上方から落下させた水滴はコーティング表面で弾み,また表面への付着による残存もないことから,動的にも良好な撥水面であることを確認した. 表面を平行に対向させたシリコン基板の隙間の一部に液滴を配置したアクチュエータを試作し駆動実験を行った.電圧印加により液滴が移動するものの,再現性に乏しく液滴が途中静止する場合があった.液滴が静止する場合,時間とともにメニスカスから液膜が発生,進展することが確認された.この液滴が静止して液膜が進展する現象は,シリコン基板の配置や液滴の大きさを変えた他の構造のアクチュエータの場合にも確認された.液体は一般的に,その表面積が最小になるように形状を変化させるが,ここでの現象は液膜と元の液滴が共存し,全体の表面積が最小にならない特別な場合である.現在,液膜の発生メカニズムや液滴との共存条件等の解明と合わせて,液滴移動がスムーズに起こるアクチュエータ構造と寸法を検討中である.
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