2010 Fiscal Year Annual Research Report
トライボ要素の表面欠陥検出用広視野レーザ検査装置の基礎研究
Project/Area Number |
20360075
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
新田 勇 新潟大学, 自然科学系, 教授 (30159082)
|
Keywords | トライボロジー / 機械要素 / 表面欠陥検査 |
Research Abstract |
申請者らが開発してきた超広視野レーザ顕微鏡は,通常のレーザ顕微鏡に比べて約300倍広い視野を持っている.本研究では,この装置の特長を活かし,従来技術では不可能な広い表面の欠陥検査を短時間で行える高性能検査装置の開発を行うことを研究目的としている.一昨年は,転がり軸受の転動体「ころ」と転走面など円筒面の検査技術開発を目指し,50mm幅走査用fθレンズを新たに設計した.製作した走査用fθレンズは,光学ベンチ上で走査幅中心付近のスポット径を精密に測定し,所定の性能を発揮することを確認した.昨年度の円筒面の観察では,円筒を横向きにし,レーザ走査方向と母線方向を一致させるようにした.このようにすることで母線の全幅(50mm)にわたり顕微鏡のピントを合わせることができる.これが,短時間で円筒面の検査をする場合のキーテクノロジーとなる.昨年度は,トライボ要素としてオイレスベアリングを観察した.本年度は,トライボ要素としてプリンターに用いられるゴムローラーを取り上げ,ガラス面と接触させたときの見かけの接触面全体を観察した.そして,真実接触面積の分布を詳細に解析することに成功した.ゴムの接触は経年変化が認められ,時間の経過につれて,真実接触面積は少なくなることが分かった.ゴムローラーにトルクを加えた場合,巨視的に滑り出す限界トルクと真実接触面積は正比例の関係にあることが分かった.また,見かけの接触面全体にわたり,トルクを与えたときの微小すべりの分布を画像相関法を用いることで計算できた.微小すべりは,見かけの接触面全体に均一に分布するのではなく,ある偏りを持って分布することを明らかにした.実用的な問題として,ゴムローラー表面に紙粉が付着した場合には,紙粉の近傍の真実接触部が消滅し,そのことが原因で限界トルクが低下することを明らかにした.
|