Research Abstract |
本年度は,CO_2インキュベータ内設置型転がり滑り負荷装置に対し,ローラー位置制御機構の追加,ローラー表面^のシリコンラバー層付与等の改造を行うと共に,培養実験環境の見直しと無菌実験手技のさらなる改善を行った.その結果,単離軟骨細胞をアガロースゲルに播種した再生軟骨モデルに対し,表面に摺動刺激を加えながら,3週間培養することに成功した 実験では,滑り率0(純転がり),振幅5mm,周期1Hzの往復転がり運動により,1日12時間,モデル表面に摺動刺激を与えながら培養した.摺動負荷培養後の再生軟骨モデルについて,まず形成された表層構造を,正立型共焦点レーザー走査型顕微鏡(CLSM)を用いて評価した.その結果,摺動刺激を与えた再生軟骨モデル表面には,多量のグリコサミノグリカンが一様に分布していることが確認された.この様な表層部へのグリコサミノグリカンの分布は,対照群のモデル表面には認められなかった.グリコサミノグリカンを豊富に含む表層構造の形成は,モデルから作成した切片を,倒立型CLSMにより観察することでも確認された.また摺動負荷群のモデル表面では,細胞の生存率が低下しコラーゲン産生量が低下している可能性も示唆された.以上の結果から,摺動負荷培養により,構造的異方性を持った再生組織が形成される可能性が示唆された 加えて前年度に引き続き,細胞毒性を抑制した安定化ビタミンCであるリン酸化アスコルビン酸(A2P)用い,培地中のビタミンC濃度を最適化することで,細胞によるコラーゲン産生とその組織化を促進することを試みた.実験の結果,側鎖にリン酸基を持ち分子量と電荷が増加したA2Pの場合,静置培養ではコラーゲン産生促進効果が得られなかった.しかし,繰り返し圧縮負荷を培養中のモデルに負荷し,モデル内の物質輸送を促進することにより,アスコルビン酸同様のコラーゲン産生促進効果が得られた
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