Research Abstract |
本研究では,減圧状態から4気圧の圧力範囲で液中プラズマを水中で発生させ,その分光測定から,電子温度,電子密度,ガス温度を求めた.本圧力範囲では,電子温度は4300~3200K,OHの回転温度は,1800~5000Kとなる.電子密度は1.9×10^<20>から5.8×10^<21>個/m^3であることが明らかになった.液中プラズマの電離度は約0.1%であるが,液中プラズマはこの荷電粒子の運動によって気泡内に数千Kの化学反応場を液中に提供できる,従来の沸騰現象は加熱壁から発生するが,本実験では沸騰現象は,液体中のプラズマを熱源として沸騰が発生する.液中プラズマは通常の加熱壁からの沸騰では実現困難な,数千Kの過熱度を持つ沸騰現象を発生できることを明らかにした.次に,水中に発生するマイクロ波液中プラズマを高速度ビデオカメラで撮影し,プラズマの発生位置を調べた.FDTD法によって数値計算された電界分布と,その電界値から予測される水のエネルギー吸収量を考慮に入れた熱伝導方程式を解き,プラズマ発生部周辺の液体の温度を計算した.その結果,電界が高い地点が最も温度の高い地点になるとは限らないことが明らかになった.高速度カメラによって測定されたプラズマの発生場所と,数値計算から得られた最も温度が高い地点が一致した.通常プラズマは最も電界が強い場所から放電が発生するが,マイクロ波液中プラズマは最も温度が高い地点から放電が開始することが明らかになった.最後に,マイクロ波液中プラズマを利用したナノ粒子の合成実験を実施した.亜鉛電極を利用することで,エタノール中でプラズマを発生させると亜鉛ナノ粒子,水中で発生させると酸化亜鉛ナノ粒子が合成できることを明らかにした.電極上部にプレートを設置することによって,合成速度を制御することが可能となる.
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