2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノワイヤ材料の熱物性と原子レベル構造に関する実験的研究
Project/Area Number |
20360099
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高橋 厚史 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10243924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 貴史 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (80363381)
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Keywords | カーボンナノチューブ / ナノ熱センサ / 熱整流 / 界面熱抵抗 / フォノン |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)に代表されるナノワイヤ系材料は機械的電気的性質と同様に熱に蘭しても特異な性質を示すがそのメカニズムはまだ十分にはわかっていない。特に熱輸送特性は結晶構造,サイズ,接触状態などに依存するため同じ材料であってもワイヤ1本1本さらにはその状態によって熱伝導率が異なる。本研究ではナノワイヤ1本を取り出して原子レベルの構造観察とあわせて熱伝導率を正確に計測することでナノ材料の熱物性に関する知見を集約することを目的としている.今年度は,熱整流作用と界面熱抵抗に関する研究を実施して次のような知見を得た.まず,CNTの軸方向に結晶欠陥のある部分と無い部分を連結させた場合には,室温あたりにおいては欠陥のある部分から無い部分への熱流はその逆の向きに比べて10%程度増大することがわかった.その理由はフォノンの周波数特性が欠陥の有無に依存するためである.この現象の発見と検証は全て分子動力学シミュレーションによって行われた.次に,実験的にはCNT1本を独自に開発したナノ熱センサにセットしてそのCNT先端と金表面との間の界面熱抵抗を定量的に評価した.先端が閉じた試料と開いた試料を扱った結果,c軸方向とa軸方向で1桁ほどの違いが得られた.この結果はフォノンの界面散乱をモデル化した理論予測とよく一致するものであった.このように,本研究はナノワイヤ材料の熱輸送特性に関して基盤的実験技術を開発すると同時に,バルクではわからなかった多くの新しい知見を発見し検証することができたと総括することができる
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Research Products
(14 results)