2010 Fiscal Year Annual Research Report
二波長エバネッセント波照射細胞電位・屈折率センシングによる細胞膜イオン輸送制御
Project/Area Number |
20360102
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 洋平 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (00344127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 俊之 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00255598)
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Keywords | マイクロ流体デバイス / 細胞膜 / 細胞表面電位 / 細胞内屈折率 / エバネッセント波 / 二波長 / ナノLIF / マイクロPIV |
Research Abstract |
マイクロ流体デバイスを用いた液体(培養液)中の細胞膜・液体間イオン輸送制御技術の確立を目標として、二波長エバネッセント波照射による細胞内屈折率および細胞表面電位の非侵襲センシング技術の開発を行った。一般的に、癌細胞は正常細胞よりも屈折率が大きく、一方、マラリアに感染した細胞の屈折率は低くなることが知られている。本年度は、正常細胞と培養液との屈折率差をエバネッセント波照射による細胞・液体界面から発生する散乱光強度を撮像することにより、屈折率非侵襲センシング技術の開発を行った。エバネッセント波照射領域内に細胞を配置した場合、細胞・液体界面において散乱光が発生する。散乱光の強度は、両物質問の屈折率差に依存するため、散乱光強度による屈折率差計測が可能となる。次に、イオン輸送制御技術の確立を目指して、マイクロ流体デバイス内に配置したマイクロチャネルのバルクおよび壁面極近傍におけるpH二次元分布のセンシングを行い、マイクロチャネル壁面極近傍に形成される電気二重層のイオン輸送への影響を実験的に解明した。蛍光強度がpHに著しく依存していFluorescein Sodium Saltを電解質溶液に混入し、共焦点スキャナによるマイクロLIF(レーザ誘起蛍光)法をマイクロチャネルのバルクpH分布センシングに、またエバネッセント波によるナノLIF法をマイクロチャネル壁面極近傍のpH分布センシングに適用した。その結果、壁面極近傍のpHの値はバルクよりも低い値を示していることが明らかとなった。これは、電気二重層形成時により、プロトンが過度に集中することに起因している。バルクにおけるイオン輸送は対流に支配されているが、壁面極・傍では液体速度が小さくなり対流の影響は減少するが、電気二重層によって陽イオンの挙動が制約されることが明らかとなった。
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