Research Abstract |
本年度の研究では,フェムト秒レーザー支援エッチングにおけるエッチングの選択性が,エッチング液の濃度・温度にどのように依存するかを調べた。シリカガラスを試料として実験を行った結果では,エッチング液の温度は選択性にほとんど影響しない(すなわち,温度を高くするとエッチングは速くなり,選択性は変わらないめで,実用的には有利である),エッチング液の濃度は低い方が選択性が高くなる(エッチングの速さとのトレードオフ)という関係があることがわかった。また,フェムト秒レーザー照射によって生じる応力に関する研究では,ルビーを試料として実験を行い,照射部の周囲に基本的には圧縮の応力が生じること,クラックの先端付近で局所的に引っ張り応力が生じていることを明らかにした。ただし,クラック先端付近の引っ張り応力は,クラック毎に異なり,生じていないものもある。この知見は材料の局所的な強化に活用できると思われる。 光による回転の実験では,羽根型の光圧回転体において実験を行い,形状の異なる回転体における回転速度の比較から,羽根の厚さが回転速度に影響する重要なパラメータだということが推測された。 加えて,フッ化物結晶(フッ化カルシウム,フッ化マグネシウム)を対象としてフェムト秒レーザー支援エッチングの実験を行い,各種の酸を用いることである程度の選択的な加工が可能なことを明らかにした。また,エッチングレートの結晶方位異方性に起因すると思われる特徴的な形状が,酸の種類に応じて現れることがわかった。これらの研究成果について,学会等で発表し,議論した。
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