Research Abstract |
これまで我々が提案してきた2本指ロボットによる外界センサーレス把持制御を,3本指へ拡張を行った. 非ホロノミックな転がり拘束条件を含めたダイナミクスを導出し,制御入力を含めた閉ループダイナミクスの解析により,動的な意味で力/トルク平衡を実現するための条件を導出した. これら物体の不動化に関する力/トルク平衡条件は,2本指による物体把持の場合と決定的に異な部分である. また,リーマン幾何学で定義されているリーマン距離を平衡多様体の近傍として導入することにより,これまで行ってきた“多様体上の安定性理論"を用いた収束性の証明にっいて,より明確に動的な意味での安定領域を定義することが可能となった. 更に,2次元平面モデルの場合において,これまでは把持対象物体を任意凸多角形として仮定してきたが,物体の形状関数において微分幾何学における弧長パラメータおよび第1,第2基本量を導入することにより,任意形状の物体に対して物体把持モデルを構築することが可能となった. そして,これまで提案してきた制御則を用いることで,正則曲線で表される任意形状物体に対して,外界センサーレス把持制御が行えることを示した. また,指ロボットの指先として用いる柔軟構造体や人工筋肉などのインピーダンスモデルを,分布定数ポートハミルトン系としてモデル化する手法の提案を行った. これにより,これまで提案してきた入出力間の受動性のみを用いた安定化手法の導入が可能となり,また,リンク系などの剛体モデルと,柔軟指などの分布系モデルの両方を含んだシステムにおいても,統一的な安定化手法の構築が可能となる.
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