2010 Fiscal Year Annual Research Report
気液二相流プラズマによる水中有機フッ素化合物の完全分解
Project/Area Number |
20360123
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安岡 康一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (00272675)
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Keywords | 有機フッ素化合物 / 気液二相流 / 気泡内ララズマ / 水中プラズマ / PFOA / PFOS |
Research Abstract |
本研究は「気液二相流プラズマによる水中有機フッ素化合物の完全分解」と題し,環境水あるいは工業用水中の有機フッ素化合物を,処理液中に発生させる気泡内プラズマにより高効率完全分解を実現するとともに,その分解機構を解明することを目的としている。 (1)前年度制作したプラズマリアクタを使用し,産業界で広く使用されている代表的な難分解有害有機フッ素化合物であるペルフルオロオクタン酸(PFOA)およびペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)をそれぞれ3時間および8時間のプラズマ処理により,完全分解することに成功した。分解処理エネルギー効率は光化学あるいは超音波処理などの他の方式に比較して大幅に高い値を示すことがわかった。 (2)PFOAは完全分解の過程で初期化合物に含まれていたフッ素が,1時間処理後に処理液中にイオンとして90%以上遊離するのに対し,PFOSは完全分解時にもフッ素イオン量は80%以下に留まった。しかし処理水中のフッ素イオンおよび硫酸イオン,また副生成物中のフッ素原子,硫黄原子量を測定することにより,PFOSの分解過程では,炭素鎖の短いスルホ基をもつ分解副生成物(PFASs(CnF2n+1SO3H))が生成され,これらが徐々に分解される過程を考慮することで,分解過程の説明が可能であることを示し,このことがPFOSの場合により長い時間が分解に必要であることを明らかにした。 (3)プラズマ分解処理方式が高い効率を示す要因として,気泡界面において有機フッ素化合物が選択的に分解される可能性が高いことを気泡表面張力の測定結果から示し,また気液界面における電気極性の違いが分解反応効率に影響することを実験的に示した。さらに,気泡の並列化によるプラズマリアクタの大型化については,原理的に問題ないことを明らかにした。
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