2009 Fiscal Year Annual Research Report
トリレンマ克服を可能とする分散型エネルギーシステム用次世代高安全二次電池の創製
Project/Area Number |
20360126
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
櫻井 庸司 Toyohashi University of Technology, 工学部, 教授 (80452217)
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Keywords | 二次電池 / リチウムイオン電池 |
Research Abstract |
合成条件を確立したピュアLiFePO_4をコントロール品として、昨年度に得られた結果を元に、新規なアニオン置換(PO_4ユニット中の酸素の一部窒素置換)によるリチウムイオン伝導性向上に向けて、窒素ドープLiFePO_4(以下、LiFePO_4-Nと表記)の合成条件詳細検討ならびに窒素ドープ効果の検証に注力した。 LiFePO_4-N合成手法として、(1)窒化したLiPO_3(LiPO_3-N)を出発原料の一種に用いた窒素雰囲気中合成(原料窒化)および、(2)ピュアLiFePO_4のアンモニア気流中焼成による窒化(直接窒化)を採り、熱処理条件依存性を検討しながら、ラマン分光、エネルギー分散型X線分光(EDX)による元素分析、X線回折(XRD)、レーザ回折・散乱式粒度分布測定などによる物性評価を行った。 その結果、いずれのサンプルも狙い通り炭素が含まれておらず、窒素がドープされた平均粒径5ミクロン以上のLiFePO_4-Nに改質されていることが明らかとなった。またこれらのLiFePO_4-Nを正極活物質としてLi金属を対極とするコインセルを作製し、定電流充放電試験によりその電気化学特性を評価した結果、上記(1),(2)の手法で合成したLiFePO_4-Nはコントロール品であるピュアLiFePO_4をはるかに凌ぐ放電容量を示し、当初目的の窒素ドープ効果が確認された。 更に上記検討と並行して、粉末表面電子伝導性向上を図るべく、スクロース・NH_4-CMCなどの炭素含有有機物をLiFePO_4粉末と混合して不活性ガス中で焼成して粉体表面への導電性炭素皮膜被覆を行い、その効果を検証した。熱分析測定(TG/DTA)から求めた被覆炭素量は約3wt.%であり、炭素被覆による粉末表面電子伝導性向上によって、その正極活物質特性が向上することが明らかとなった。
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