2010 Fiscal Year Annual Research Report
トリレンマ克服を可能とする分散型エネルギーシステム用次世代高安全二次電池の創製
Project/Area Number |
20360126
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
櫻井 庸司 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80452217)
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Keywords | 二次電池 / リチウムイオン電池 |
Research Abstract |
今年度は、本研究で新たに見出されたLiFePO_4への窒素ドープ効果(放電容量の増大など)の発現要因を明らかにするために、化学分析により窒素ドープLiFePO_4(以下、LiFePO_4-Nと表記)の組成ならびにFeの価数を決定し、これらの結果を元にX線リートベルト解析を行ってその結晶構造を詳細に解析した。 化学分析の結果、Li、Fe、Pが化学量論比で存在し、LiFePO_4-N(窒化処理温度:600,550℃)のFeは2価であり、NがFeに対してモル比でおよそ1%、バルクとして存在していることを確認した。これらの結果から、Nがドープされるとチャージバランスを取るために0が一部欠損し、LiFePO_4-N(600,550℃)の化学組成はLiFePO_<3.9865>N_<0.009>と表すことができると考えられた。この化学組成を元にしたX線リートベルト解析からは、窒素ドープにより格子定数はさほど変わらぬ一方、LiFePO_4-NにおいてNはO_1、O_3サイトにドープされ、またOの欠損はO_1サイトにおいて生じていることが示唆された。また、原子間距離から導出したFeO_6およびPO_4多面体の体積は、窒素ドープにより収縮していることが分かった。 これらの解析結果から、Nがフレームワークに置換導入されたことで、O_1サイトにおける酸素欠損の存在も相俟って、狙い通りLi^+イオン拡散パスが拡がり、Li^+イオン拡散性が向上したことによってLiFePO_4への窒素ドープ効果が発現した可能性が高いことがわかった。
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