2010 Fiscal Year Annual Research Report
オゾン発生器におけるオゾン濃度異常減少メカニズムの解明と信頼性向上に関する研究
Project/Area Number |
20360128
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
山部 長兵衛 佐賀大学, 工学系研究科, 客員研究員 (30093082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪原 哲 佐賀大学, 工学系研究科, 准教授 (90260728)
佐藤 三郎 佐賀大学, 産学官連携推進機構, 教授 (80264141)
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Keywords | オゾン / オゾン濃度異常減少 / オゾン発生器 / オゾン発生効率 / バリア放電 / 窒素添加効果 |
Research Abstract |
本研究では,3種類の具なる電極系のオゾン発生器を用いて長時間運転時にみられるオゾン濃度急激減少のメカニズム解明のための基礎的研究を実施した。第1番目の電極系は,ニッケル製エキスパンドメタル電極の両側を誘電体(セラミックス)装着電極によりサンドイッチ状に挟んだものである。この実験では,エキスパンドメタル電極材としてニッケル以外にチタンおよびアンチモンを用いて材糧の違いによるオゾン生成特性を調べた。オゾン発生器の発生能力は投入電力100Wで100g/hである。オゾン生成原料ガスは純度99.5%酸素ガスを用いた。[I-a]酸素雰囲気中で水分吸着層を持たないニッケル電極を用い,水分のオゾン生成に果たす役割を確認したところ,電極表面に吸着した水分がオゾン生成効率を向上させることが判明した。このため,オゾン発生を継続し,電極表面の水分ならびに窒素密度が減少してオゾン濃度が低下した後,短時間(5-60秒)水分を供給したところオゾン濃度が向上するのを確認した。例えば,水分を15秒間添加した場合には,オゾン濃度が82g/Nm3(添加前)から約122g/Nm3(添加後)に向上するのを確認した。[I-b]短時間(5-60秒)酸素ガスを窒素ガスに切り替え供給し,オゾン濃度が向上するのを確認した。[I-a]の場合と同様に,窒素ガス添加後のオゾン濃度の増加と増加後に減少していく時定数を測定した。その結果,時定数の値として12分(窒素添加時間5秒)、から25分(添加60秒)に増加し,容易にオゾン濃度を高められオゾン生成効率が向上することが明らかとなった。[II]ニッケル,チタンおよびアンチモンをエキスパンドメタル電極用材料として用いた場合のエンタルピーの変化分およびオゾン濃度減少の時定数について調べた。数か月の観察データをもとにファント・ホップの式を用いてエンタルピーの変化分△Hの計算を行った。その結果,ニッケル電極の場合は11~32{kJ/mol}であったのに対して,チタン電極の場合では7~13[kJ/mol],アンチモン電極の場合では4~6.5[kJ/mol]と狭い範囲の値が得られた。このことからチタン電極やアンチモン電極の場合は,電極表面の状態がほとんど変化せず,ニッケル電極の場合には電極表面の状態が大きく変化していることが推察できる。
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Research Products
(5 results)