2008 Fiscal Year Annual Research Report
単電子帯電構造を用いた磁性ナノデバイスの作製とゲート電界による磁気抵抗の変調制御
Project/Area Number |
20360136
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
白樫 淳一 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (00315657)
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / 磁性 / スピンエレクトロニクス / 少数電子素子 / 強磁性単電子トランジスタ / トンネル磁気抵抗効果 / エレクトロマイグレーション / ナノギャップ |
Research Abstract |
本研究課題では、以下の2つの項目を研究目的としている。 (1)エレクトロマイグレーションを用いたナノパターニング技術の開発:電荷の移動に伴い誘起されるエレクトロマイグレーション現象における様々な物理的・化学的反応過程を「その場」制御することで、非常に簡便に10nm以下の単電子帯電構造を作製することが可能な技術を開発する。 (2)強磁性単電子デバイス技術の開発:電荷とスピン(電子の2自由度)の制御が可能な新しいデバイス技術を開発する。単電子デバイスの基本原理である単電子帯電効果と強磁性材料の特徴であるスピンが相互作用を及ぼすことで、素子のトンネル磁気抵抗効果の強度増強現象やゲート電圧などの素子制御パラメータに対するトンネル磁気抵抗効果のヒステリシス現象など、これまで知られていない斬新な素子機能を発揮できる可能性を有する。 初年度(平成20年度)では、ナノギャップ電極に対して、高電界トンネル機構に基づく電界放射電流(FNトンネル電流)により誘起されたエレクトロマイグレーションの発現強度を「その場」でコンダクタンス制御することで、所望の単電子帯電構造(アイランド)を作製・制御する技術を開発した。はじめに、電子線リソグラフィーにて50nm以下のギャップ間隔をもつNi系ナノギャップ電極を作製した。作製直後の抵抗は数百TΩ程度と、ギャップ間隔を反映した非常に大きな値を示した。次に、作製したナノギャップ電極に対し電圧を印加して電流を流し、ある電流で通電プロセスを止めた時の抵抗の制御性について検討を行った。その結果、ナノギャップ電極に流す電流を大きくするほど通電後の抵抗が小さくなることを確認し、通電前後で9桁程度の抵抗減少が見られた。通電前後の典型的なナノギャップ電極のAFM像から、通電によりギャップ近傍のNi原子が移動することで抵抗が減少したと考えられ、本手法では通電電流のみにより抵抗値が制御可能なことを示唆している。これより、エレクトロマイグレーションを用いた新しいナノ加工技術の知見を得ることが出来た。
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Research Products
(5 results)