2010 Fiscal Year Annual Research Report
単電子帯電構造を用いた磁性ナノデバイスの作製とゲート電界による磁気抵抗の変調制御
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20360136
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
白樫 淳一 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (00315657)
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / 磁性 / スピンエレクトロニクス / 少数電子素子 / 強磁性単電子トランジスタ / トンネル磁気抵抗効果 / エレクトロマイグレーション / ナノギャップ |
Research Abstract |
本研究課題では、以下の2つの項目を研究目的としている。 (1)エレクトロマイグレーションを用いたナノパターニング技術の開発:電荷の移動に伴い誘起されるエレクトロマイグレーション現象を「その場」制御し、簡便に10nm以下の単電子帯電構造を作製する。 (2)強磁性単電子デバイス技術の開発:電荷とスピン(電子の2自由度)の制御が可能な、これまでに無い新しいデバイス技術を開発する。 第3年度(平成22年度)では、昨年度に確立した電界放射電流誘起型エレクトロマイグレーション法(アクティベーション法)により、強磁性材料としてNiを用いたプレナー型強磁性単電子トランジスタ(Ni-FMSET)の特性制御手法の確立とNi-FMSETの集積化技術の開発に成功した。具体的にはナノギャップ電極の初期ギャップ幅とアクティベーション時の設定電流を組み合わせて調整することで、室温動作が可能なFMSETの帯電エネルギーを詳細に制御することができた。さらに、直列に接続された集積化ナノギャップヘアクティベーションを適用することで、2つのFMSETの同時作製とその集積化に成功した。また、エレクトロマイグレーション技法を用いて得られたプレナー型Ni/真空障壁/Ni系強磁性トンネル接合での室温における磁気抵抗(MR)特性の測定結果から、室温下において9%程度のMR比を観測した。抵抗値が増大する磁化反平行状態の磁場範囲は300~400Oe程度であり、これは、当該素子のNi電極形状に対するマイクロ磁気シミュレーション(OOMMF)による計算結果と定性的な一致が見られた。即ち、ナノギャップが真空障壁として機能し、ナノギャップの両端にあるNiソース・ドレイン電極の形状差を反映した形状磁気異方性によりプレナー型Ni/真空障壁/Ni系強磁性トンネル接合が形成され、室温にてトンネル磁気抵抗効果が発現したものと考えられる。以上より、電界放射電流誘起型エレクトロマイグレーション法により単電子トランジスタ構造の簡易作製手法が開発され、強磁性単電子デバイス技術の可能性が示された。
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Research Products
(5 results)