2010 Fiscal Year Annual Research Report
電界によるスピン制御のための新規室温強磁性・強誘電性共存物質群の開拓
Project/Area Number |
20360138
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
五味 学 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (80126276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 壮司 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教 (10402645)
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Keywords | 強磁性強誘電性共存材料 / マルチフェロイックス / 層状酸化物 / 電界誘起磁性 / 電気磁気効果 / 圧電性 / エピタキシャル薄膜 |
Research Abstract |
1.新規層状物質Bi_<m+1>Ti_3Fe_<m-3>O_<3m+3>の薄膜合成と磁性・誘電性共存状態の探査 新たな物質群であるBi_<m+1>Ti_3Fe_<m-3>O_<3m+3>(BFTO)のスパッタ法および化学溶液堆積法によるエピタキシャル薄膜合成を行い、磁気秩序の高温化のための多量のFe置換(m>8)条件、およびその磁性と誘電性、更には異なる結晶面のエピタキシャル成長を達成する条件を探査した。その結果、結晶成長においては、X線解析により最大Fe置換量はm=10であること,(110)STO基板には(100),(010)面方位が混在したエピタキシャル成長が起こることを明らかにした。物性面では、メスバウアースペクトルの温度変化からm=9の(001)エピタキシャル薄膜は310Kのネール温度を持ち、スピン軸が[001]軸と約60゜をなす反強磁性を室温で示すことを確定した。また、m=10の(001)エピタキシャル薄膜では室温で約5μC/cm^2の残留分極を持つ分極曲線を示すことを明らかにした。これらは、室温で強誘電性と磁気秩序の共存した新たな材料の合成に成功したことを意味する。 2.新規強磁性・圧電性共存物質Ga_<2-x>Fe_xO_3の薄膜合成と磁性・圧電性共存状態の探査 室温で強磁性と圧電性の共存が期待される酸化物Ga_<2-x>Fe_xO_3(GFO)の薄膜の成長方位の異なるエピタキシャル成長を達成する条件を探査し、格子整合性の観点から(001)エピタキシャル薄膜の成長には(111)STO基板が最も適していることを明らかにした。また、前年度の結果を基に磁気異方性の制御を目的に、新たにCo^<2+>-Ti^<4+>を置換したGFOを作製し、少量の置換が結晶の異方性に大きく影響することを見出した。この結果は、Co^<2+>の持つ磁気的な異方性が格子歪を介して影響される可能性を示唆するもので電界によるスピン制御に大きな意義を持つ。
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