2010 Fiscal Year Annual Research Report
r面サファイア基板への無極性a面GaNの結晶成長と高効率緑色LEDへの応用
Project/Area Number |
20360141
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
只友 一行 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10379927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑野 範之 九州大学, 産学連携センター, 教授 (50038022)
岡田 成仁 山口大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (70510684)
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Keywords | GaN / LED / 無極性面 / 半極性面 / 結晶成長 |
Research Abstract |
【研究概要】r面サファイア基板上への無極性面(a面)GaNの結晶成長[a-GaN/r-サファイア基板]、選択横方向成長を使ったa-GaNの高品質化、及び緑色LEDの実証が本研究課題である。本研究において、サファイア加工基板の凸部(テラス)のc面側壁からc面GaNを成長させることにより、サファイア基板表面に無極性面(a面、m面)、さらには半極性面({11-22}面、{1-101}面など)のGaNを成長させる技術を考案し、その有効性を実証した。具体的には、r-サファイア加工基板上へは{11-22}-GaNが、m-サファイア加工基板上へはa-GaNが成長することを実証した。平成22年度は、半極性面{11-22}-GaN/r-サファイア加工基板の結晶成長に注力し、GaN層中の転位密度の低減と、緑色LEDの試作に取り組んだ。転位密度の低減には、(I)ストライプ状のサファイア加工基板のテラスの幅を広くすること、(II)凹部(溝)の深さを浅くすることの効果の検証を行い、c面GaNと同程度の転位密度を達成した。また、緑色LEDを試作し、極性面(c面)で顕著に現れるブルーシフト(注入電流の増加に伴う発光ピーク波長の短波長化)の大幅な減少を観測し、半極性面の効果と推定した。さらに、加工基板特有の光散乱効果による光取出し向上効果も確認した。(以下、無極性面と半極性面を総称して非極性面と呼ぶ) 【転位密度低減に関する研究結果】(I)転位の多くはGaN/サファイアの界面(GaNの成長起点)で発生する。したがって、テラス幅を広げると転位密度の低減が期待される。テラス幅を3μm(周期6μm)、9μm(周期13μm)、19μm(周期23μm)に設定したサファイア加工基板を作製し、その加工基板上に成長した{11-22}-GaNの転位密度をカソードルミネッセンス(Cathodeluminescence:CL)で評価した。その結果、テラスの幅を19μmとした場合に9×10^7cm^<-2>まで転位密度が低減することが分かった。 (II)次に、溝を浅くすることで成長起点の面積を小さくし、転位密度を低減させることを試みた。1μm(通常の設定)、500nm、200nm、及び100nmの溝の深さを有するサファイア加工基板を作製し、その上に成長した{11-22}-GaNの転位密度をCLで評価した。その結果、100nmの溝深さの時に、転位密度は1.4×10^7cm^<-2>まで低減した。 【非極性面GaN上に作製した緑色LEDに関する研究結果】テラス幅3μm(周期6μm)のr-サファイア加工基板上に{11-22}-GaN、さらに、基本的なLED構造を成長した。p側電極にITO(Indium Tin Oxide)を使い、バッド電極にNi/Auを使って、350×350μm^2、発光波長500nmのLEDを作製した。発光出力はc面サファイア基板上のLEDに及ばなかったものの、注入電流を20mAから100mAに増加させた時のブルーシフト量は、8.9nmと、c面サファイア基板上に形成したLEDのシフト量20nmの半分に減少した。半極性面のLEDの特質を十分観測することができたと考えられる。さらに、加工基板の光散乱効果による光取出し効率の向上効果も確認した。 【まとめ】サファイア基板上の高品質非極性面GaNの全く新しい成長技術を開発し、非極性面上のLEDの作製・評価まで実施した。当初予定した研究実施内容を十分に達成し、この分野の研究水準を非常に高めた意義のある研究となった。
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Research Products
(24 results)