2009 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物高温超伝導体における結晶粒界の通電機構の解明と高臨界電流密度化
Project/Area Number |
20360143
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木須 隆暢 Kyushu University, 大学院・システム情報科学研究院, 教授 (00221911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 昌睦 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助教 (80346824)
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Keywords | 高温超伝導 / 臨界電流 / 結晶粒界 / 電流分布 / 可視化 |
Research Abstract |
本年度は、超伝導線材の電磁現象の観測手法に大きな進展が得られた。また、実用上重要となる金属基板上に堆積した希土類系高温超伝導線材(RE123)における結晶粒、局所結晶欠陥と損失発生の影響を、作製プロセスとの相関の点からも明らかとし、今後の特性向上のための重要な知見を得た。平成21年度の主要な成果は以下の通りである。 1)磁気顕微法による電磁現象可視化法の確立: 微小ホール素子をセンサとした磁気顕微法により、希土類系高温超伝導線材の電磁現象の可視化技術を確立した。本手法により、線材内の粒界および局所欠陥が電流分布と誘導電界の空間分布に及ぼす影響を定量的に評価可能であることを実証した。すなわち、交流電流の印加に伴う損失発生の時間発展をμmスケールの空間分解能を有する2次元像として取得可能であり、損失発生因子の観測手法としての有用性を示した。 2)基板平坦化プロセスの影響の定量的評価: レーザの局所照射に伴う、熱電電圧の観測によって試料の面内配向性と粒界構造の評価を行い、基板の平坦化処理による局所配向性ならびに空間均一性の向上を明らかにすると共に、磁束フロー損失低減の明瞭な効果を捉え、平坦化プロセスと結晶組織および臨界電流との相関を明らかとした。 3)各種成膜法によるRE123線材の評価: 上述した観測手法を用い、各種プロセスの組み合わせによる線材の特性評価を実施した。すなわち、配向中間層上および配向金属基材上の線材における結晶粒構造の可視化、さらに、超伝導層の成膜にパルスレーザ蒸着法、塗布熱分解法MOCVD法を用いた場合のそれぞれの線材について、結晶粒構造と磁束フロー損失の空間分布の観点から特性の差異を明らかとした。
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Research Products
(39 results)