2010 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物高温超伝導体における結晶粒界の通電機構の解明と高臨界電流密度化
Project/Area Number |
20360143
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木須 隆暢 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 教授 (00221911)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 昌睦 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 准教授 (80346824)
|
Keywords | 高温超伝導 / 臨界電流 / 結晶粒界 / 電流分布 / 電磁特性 / 可視化 / 磁束ピンニング / 電流輸送特性 |
Research Abstract |
平成22年度は、平成21年度までに得られた、バイクリスタル基板上の単一結晶粒界における知見を基に、実用上重要となる配向金属基材上に成膜したRE123コート線材の特性評価へと展開し、実際のコート線材中における、より複雑な結晶粒の集合体の特性を調査した。これまでの研究で確立できている観測手法を複合的に用いることにより、結晶粒界と局所的電磁特性との関係を調べ、RE123コート線材の臨界電流制限因子を明らかとした。平成22年度の主要な成果は以下の通りである。 1)RE123高温超伝導層結晶粒の可視化:レーザ誘起ゼーベック電圧イメージング法を用い、超伝導層の結晶粒とその配向の様子を可視化し、粒界位置の特定とその傾角の評価、さらに基材の圧延工程により線材長手方向に延びた面内で異方的な粒構造を有することを明らかとした。 2)局所的磁束フロー損失の可視化:低温レーザ顕微法を用い、印加電流の増大に伴って生ずる磁束フロー損失は粒界位置に沿って発生することを明らかにすると共に、電流を完全にブロックする粒界の存在を示し、臨界電流低下の主因となっていることを解明した。以上の特性を超伝導層を系統的に変化させた試料を用いて調べ、それらの振舞いがほぼ同様であることから、配向基材最表面の結晶粒構造に起因することを明らかとした。また、この粒界の改善により、約20%の臨界電流値の増大が見込めることを示した。 3)局所電流分布ならびに量子化磁束ダイナミクスの評価:磁気顕微法により粒界部位における電流分布と磁束挙動を調べ、実用線材における結晶粒界と損失発生、電流透過性との相関を明らかとした。
|
Research Products
(54 results)