2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20360146
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大木 義路 Waseda University, 理工学術院, 教授 (70103611)
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Keywords | 誘電体 / 生分解性高分子 / 電気特性 / 絶縁材料 / 導電率 / 誘電率 / ポリ乳酸 |
Research Abstract |
本研究は、各種生分解性高分子において誘電特性を支配する因子の解明を目指し研究を行っている。本年度は、ポリエチレンテレフタレートサクシネート、ポリブチレンサクシネート、エステル化澱粉ならびにL型ポリ乳酸(PLLA)に注目し、結晶構造と電気的特性の関係を種々の観点から調べた。PLLAに関する主な成果の内容は以下の通りである。 (1)L型ポリ乳酸の結晶化度が電気伝導特性と誘電的性質に与える影響について実験的に調べ、結晶化度が高いとTSPC(熱刺激分極電流)、TSDC(熱刺激脱分極電流)ピーク、比誘電率、比誘電損率は小さくなることを見出した。 (2)テラヘルツ時間領域分光法を用いてPLLAの誘電スペクトルを測定し、誘電分散は、PLLAの結晶構造と関係していることを見出した。 (3)L型ポリ乳酸と、L型およびD型ポリ乳酸をブレンドしたステレオコンプレックスの複素誘電率を調べ、全結晶化度が高く、さらにステレオコンプレックス結晶化度が高い方が、比誘電率、比誘電損率ともに小さくなること、D型ポリ乳酸のブレンド比が高い方ほど、誘電吸収ピークは低周波数側にシフトすること等を見出した。 (4)高温圧延もしくは結晶化温度での熱処理によって作成した結晶化度の異なるPLLAについて、示差走査熱量分析、比誘電率測定、部分放電(PD)試験、PD劣化深さを測定し、結晶化度の高い試料は、比誘電率が低く、部分放電電荷量および劣化深さが小さいこと、圧延と熱処理という結晶化方法の違いは、PLLAの耐部分放電性に大きな影響を与えないこと等を見出した。
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Research Products
(10 results)