2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20360146
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大木 義路 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70103611)
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Keywords | 誘電体 / 生分解性高分子 / 電気特性 / 絶縁材料 / 導電率 / 誘電率 / ポリ乳酸 / テラヘルツ分光 |
Research Abstract |
地球温暖化や廃棄物処理などの環境問題に人々が関心を示す流れの中で、土中に埋設したとき微生物により分解され、環境や生態系への影響が軽微な生分解性高分子、中でもデンプン等の植物原料を用いて製造可能である植物由来生分解性高分子は、資源循環にも適した材料として注目されている。 ところが、生分解性高分子が工業製品に使用された例は少ない。この最大の理由は、生分解性高分子の種々の特性が明らかでないことにある。電気的特性では、最も基本的な誘電率、誘電損率といった特性も殆ど明らかとなっていない。このような現状に鑑み、本研究においては、生分解性高分子の工業製品への適切な使用を促進するために、多種類の生分解性高分子の電気的特性を系統的に測定し、シンクロトロン放射光励起フォトルミネッセンス(PL)や先駆的THz分光による測定結果を合わせ、特性の支配要因を明らかにすることを目的としている。 本年度は、基礎研究としては、ポリ乳酸やポリカプロラクトンのTHz~赤外吸収スペクトルを測定し、密度汎関数法により、振動スペクトルの帰属を調べた。ポリカプロラクトンについての結果を記述すれば、密度汎関数法により150~1000cm-1における測定結果を良く再現出来た。また、数10~100cm-1に観測される2つの吸収ピークは、シミュレーションにおいて多数の振動ピークで再現された。このことは、100cm-1以下で測定される吸収ピークは、単一の吸収要因によるものではなく、多種の分子振動が集まった分子内振動であることを示唆している。 さらに、実用化を見据えた研究も行い、エステル化澱粉に可塑剤としてPBATをブレンドした試料の絶縁特性を測り、このブレンドは600V級電線のJIS規格値を満たすが、可塑剤混合率が高いと絶縁特性が悪化し、逆に可塑剤混合率30%以下の試料では可塑性に問題があることを明らかにした。
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Research Products
(35 results)