2010 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴トンネルアクティブ伝送線路とそれを用いたTHz信号生成・処理技術
Project/Area Number |
20360155
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
前澤 宏一 富山大学, 理工学研究部(工学), 教授 (90301217)
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Keywords | 共鳴トンネル / 分布定数線路 / THz / 増幅器 / エアブリッジ / InP |
Research Abstract |
本研究の目的は、共鳴トンネル素子(RTD)を分布定数化したアクティブな非線形伝送線路と、それを用いたTHz信号生成・処理技術の可能性を開拓することにある。RTDはTHzを超える高速性を持つ高周波デバイスであり、最近THz領域の信号源としての可能性が注目を集めている。本研究では入出力分離が困難と言うRTDの問題点を解決し、その高速性を活かすため、RTDを配置した非線形伝送線路に着目し、研究を進めた。 まず、直列接続共鳴トンネル素子を用いた非線形伝送線路の基本特性の実証を目的として試作を行った。しかし、共鳴トンネルダイオードのエミッタ構造の作製工程において、異常エッチングが生じ、コレクタ層が失われるという問題が生じた。この問題は、単体の共鳴トンネルダイオード試作では生じておらず、その原因を詳しく検討した。その結果、エッチング中に配線金属を通して異常電流が流れ、これがエッチングを促進していることが明らかになった。現在、この問題を解決した新しいマスクパターンで試作を行っているところである。 次に、高周波化が容易で負荷変動に強い高調波発振器として、アクティブ伝送線路の利用を検討した。アクティブ伝送線路の両端で意識的に反射を起こすことにより、線路長を半波長とする発振が生じる。この回路において、共鳴トンネル素子を装荷する位置を変えることにより、発振信号の高調波成分の割合が変化することを見出した。特に、構造によっては、かなり次数の高い高調波が得られる可能性があることが分かった。これは、実用的には重要な知見である。
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