Research Abstract |
本研究では,数メガヘルツ~数ギガヘルツの周波数範囲におけるウェアラブルアンテナ(電極)間の信号伝送特性を,姿勢変形が可能で,表面形状が実人体に近い数値人体モデルを用いたシミュレーションによって検討を行った.その結果,人体の大きさが波長と比較して非常に小さい数十メガヘルツ以下の周波数ではレベルが周波数に対してフラットとなるものの,姿勢変化による送受信アンテナ間の距離の変化や,腕部による伝播経路の遮へいによってレベルが若干変化することが明らかになった.また,送受信アンテナの自己および相互インピーダンスを算出し,そこから電力伝送効率を見積もったところ,低い周波数帯のほうが遥かに高効率であることが明らかになった.これより,情報量がさほど求められないアプリケーションの場合などは,低い周波数を用いたほうが良い可能性が示唆される. また,これまで述べた内容はシミュレーションのみの検討であるので,実測による実証が必要である.しかしながら,実測においてはシミュレーション通りのシステムでは測定が困難であり,周波数によっても最適な測定方法が異なる.そこで本年度のもう一つの検討事項として,精密な測定方法の模索を行った.測定に用いた人体モデルは,理論計算との比較も視野に入れ,円柱型とした.周波数は900MHzおよび2.45GHについて検討を行った.まず,波長が短くアンテナが小さいため測定が容易と思われる2.45GHzにおいては,アンテナ長が少し短い1/4波長でも,アンテナにインピーダンス整合構造を設けることで,十分なS/N比で測定することができた.また,測定結果は数値計算結果と良好に一致した.900MHzについては,この方法でも少し大きいアンテナとなってしまうため,波長オーダーでさらに小型な,電界検出型の平面アンテナを用いた.この場合も,S/N比は十分であり,結果も数値計算と良好に一致した.
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