2008 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキタス情報通信ネットワーク構築のための電波伝搬推定に関する研究
Project/Area Number |
20360176
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
白井 宏 Chuo University, 理工学部, 教授 (00196594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 光則 中央大学, 理工学部, 教授 (90238890)
佐藤 亮一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (00293184)
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Keywords | 電磁波伝搬 / SBR法 / 可視化 / 高周波漸近解析 |
Research Abstract |
今年度は、研究初年度であるので、目的達成のための研究・文献調査を広く行い、新しい解析手法の可能性を調査した。 まず建築物による電磁波の散乱解析のために、建築物材料の電気定数を効率よく求める方法を検討した。従来、建築材料の電気定数を測定するためには、特殊加工して同軸管の中に挿入したり、試料表面に押し当てて測定したりする必要があった。ここではこうした特殊加工をしなくてもいいように、一辺が数波長程度の立方体の材料から、電波の後方散乱量を測定することにより、その材料の電気定数を非接触で推定する方法を提案した。単一の周波数の反射応答から材料表面の反射係数を求めて、その値から電気定数を推定する方法、材料の厚みを考慮して多重散乱効果を含めた反射係数から電気定数を推定する方法、ならびに、ある帯域の周波数散乱応答データからフーリエ逆変換を用いて時間領域の応答から反射係数を抽出することにより電気定数を測定する方法等を考案し、各解析手法の精度について検討した。そして、種々の測定・解析手法についての特徴を把握し、よりよい測定法のための知見を蓄積している。 損失のある建築物を透過して伝搬する電波の解析手法として、Shooting and Bouncing Rays (SBR)法が適していると考え、本方法を使った効率的な解析アルゴリズムを提案した。建物壁がコンクリートのような損失性の誘電体の場合には、その媒質内で電波の伝搬角を複素数に拡張して解析すると便利であるが、複素角の光線を追跡することは難しい。そこで伝搬角を実数として光線追跡する方法について検討し、壁の厚みを考慮した多重散乱の効果も効率よく計算に組み込むことができることを解析的に確認できた。
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